にもかかわらず、ネバー・ギヴアップの精神で、
その後当方は、以前からの友好的な株主たちと相談して、
時間をかけて株を彼らから買い取り持株比率を戻します。
さらに、弁護士法人とタイアップして対策を練るでしょう。

この工程で、彼らの利益相反などの違法行為の証拠を集め、
定時株主総会で彼らと再勝負して勝ちを手にするというシナリオを画きます。
必要時間は、まる2年間です。

彼らが送り込んできた役員たちは、その株主総会で任期ですから、任期満了当日に当方が3分の2超株主として再任を決議しなければいいだけです。

でも、ここで終わらないで下さい。
彼らが違法行為を行ったということを記録に残しましょう。
任期満了当日にあえて当方が解任決議を動議し、採決したことを議事録に明記しておくのです。

ここまで乗っ取り屋が取締役会に入り込んでから3年以上、
乗っ取られてからまる2年かけ、完璧に彼らを消し去ることができます。

きっと読者みなさんの会社にも、乗っ取り屋がやってきて、
あの手この手の乗っ取り劇を経験なさっていると思いますが、
何が何でもネバー・ギヴアップの精神で、
消え去っていただきましょう。

ある日突然、このような目にあえば、
まったく覚悟をなさっていない経営者は、
間違いなく精神的に打撃を被ります。

会社を乗っ取る前後、乗っ取り屋は当方の悪口を
株主や顧客に吹聴してまるのが普通なのですから。

また、彼らに取締役会を支配されている間に、
億単位の現金をさまざまな形で会社から持って行かれるのも普通です。

この現実は、多くの企業の敵対的買収でもよく見受けられることです。

特定の株主ではなく、既存株主全員に対してだから有利発行にならないという理由で、取締役会決議だけで、好き勝手な株価で株主割当増資ができるという現行の制度は、問題があります。「抜け穴」と呼ばれる所以です。

おそらく法務省が改正したいのも、時価発行での「第三者割当増資」のことではなく、この「株主割当増資」の問題のことだと思います。

今は昔の堀江ライブドアがフジテレビから行なわれたのも、第三者割当増資ではなくて、株主割当増資でした。ですから、総会決議なしで、取締役会決議のみでできたのです。

フジテレビの顧問弁護士法人は、当然、当時の時点で合法的な方法しか用いるはずがありません。また、フジテレビが行ったのは、事前登録制度を利用して、通常25日かかるところを14日で株主割当増資ができるというものです。こういう買収対抗策を総合して「ポイズンピル」と呼んでいます。

ライブドア側は、これは特定の株主を排除するための事実上有利発行ではないかという論理で、最高裁判所に持ち込み、フジテレビが負けて、ライブドアが勝ちました。

フジテレビのプレスリリースには、株主割当増資がポイズンピルであることを自ら明記しているのです。以下、引用です。

☆ ☆ ☆
内容・条件を修正すれば向上に資すると判断した場合、当社は、買収者と鋭意、交渉し、内容・条件を修正するように促します。その上で、適切な内容・条件に修正されない場合には、当社は、株主の利益・企業価値を守るため様々な手段・方策を採ります。また、株主の利益・企業価値を毀損するものと判断した場合、当社は、株主の利益・企業価値を守る様々な手段・方策を速やかに採ります。株主割当増資も、このような株主の利益・企業価値を守るためのひとつの選択肢であると認識しております。株主割当増資を行う場合は、取締役会で、発行新株式数、発行価額(時価を下回る可能性もあります)等の発行条件及び将来の割当期日を決定し、割当期日の2週間以上前に公告いたします。その割当期日における株主名簿(実質株主名簿を含みます)上の株主(実質株主を含みます)の皆様にその持株数に応じて平等に新株を引き受ける権利が割り当てられることになります。
☆ ☆ ☆

このポイズンピルが効くのは、通常敵対的買収は、LBOの形を取ります。つまり、買収先の資産を事実上の担保に借り入れや私募CBで資金を調達します。ところが相手先が、フジテレビのリリースにあるように、「時価を下回る発行価額」で株主割当増資を大量にされると、それまで、持株比率を維持するためにつぎ込んだ資金が一氣に稀釈化し、さらに大量の資金を入れないと買収の意味がなくなります。こうなると、LBO資金の提供元にとっては、資金効率が悪くなりますから、LBOから手を引くモーチベーションになります。

この手の資金の提供者たちには、ヘッジファンド・投資銀行・CDS詐欺集団などがいます。ライブドアの場合は最近倒産したリーマン・ブラザーズでした。また、昨年ブルドックソース乗っ取りで登場したのはスティール・パートナーズでした。

(つづく)