早いもので今年も残すところあと3ヶ月となりました。

このところ多くの方がスマートフォンを持っているのを見かけます。当職は通話機能のみを利用していますので普通の携帯電話を持っています。先日「ガラパゴス携帯は古いですよ」と言われましたが、やはりスマートフォンは必要ありません。移動中や会議中は電源をオフにしています。緊急を要する連絡というのは日常的にそれほどないものです。また、インターネット通話「skype」などは利用しません。同じ場にいて会話するのと同じだという方がいらっしゃいますが、バーチャルな交信であり、対面でのコミュニケーションと同じではありません。これらバーチャルなコミュニケーション・ツールを多用したことで、予期せぬ失敗をした方々を目にしてきました。みなさん、バーチャルなディバイスへの過信と過剰な期待は禁物です。

さて、今回は会議と英語力とリーダーシップについてお伝えします。

会議は人・モノ・金・情報・空間・時間を有効に活用するための知恵をアウトプットする場であって、いつまでも決まらない相談をする場ではありません。会議でのリーダーの役割は、参加者の意見を聞くことも大切ですが、企画を戦略的にどう進めるかの意思決定をすることです。勘違いしているリーダーはこの意思決定を会議でのコンセンサスで決めようとします。だから、コンセンサスを求めることに熱心なってしまい、企画は可も無く不可もなく小さくまとまってしまい、大きな企画の誕生を妨げてしまいます。

会議をすることが仕事だと錯覚している方々も見受けます。会議室に閉じこもり、ああでもない、こうでもないと言い合っていても、何ももたらされないものです。新企画の場合は、積極的に社外の現場に足を運び、直にその場の空氣に触れてみる必要があります。現実のビジネス環境で、自分が温めてきたアイデアを再構築するからこそ、ブレイクスルーは生まれるのです。さもなければ、アイデアは机上の空論で消えてしまいます。

次に英語です。グローバル時代だから英語力が必要だと考え、英語学習を推奨なさる経営者は少なくありません。時代の流れに乗り遅れるなという気持ちが拍車をかけるようです。しかしながら、所詮、英語力はスキルでしかありません。情熱あるメッセージとして相手に伝える内容が無いことには、「仏作って魂入れず」になってしまいます。情熱を込めて伝える中身を個々人が持つことが最優先です。グローバル化の大前提は、英語力ではなく、情熱を込めて伝えることができる仕事(商品・サービス)内容です。

コミュニケーションが大切だからと能力アップのためのスクールに通う従業員や、社内研修としてコミュニケーション講座を導入なさる経営者・担当者を見受けます。コミュニケーション能力をスキルと混同して、プレゼンテーションのテクニックだけを身に付けても能力開発にはなりません。コミュニケーション能力はコンピテンシーの一つで、実践の場数を踏む中で磨きあげられるものです。実践の積み重ねと自己鍛錬の継続がポイントです。

スキルはテクニックで、コンピテンシーは人間総合力です。企画を成功に導くためには、これらを併せ持った力量が企画実行者たちに求められます。


スキル: プレゼンテーション力・話術・語学力・図や表を使った表現力・倫理力(個人情報保護やコンプライアンス)など 

コンピテンシー: コミュニケーション力・培われた見識・判断力・決断力・人間力など


そして、リーダーシップです。「リーダーシップを養成したい」というリクエストをいただいた時の面談で分かったことは、多くの方が「リーダーシップ=人を導く能力」と短絡的に受け取っていることでした。リーダーの本分は、企画メンバーの情熱とやる氣を引き出すことです。そのためには、器量と度量の二量が必要不可欠です。


器量: 力量・才能。企画メンバーが提案したアイデアを真剣に検討して理解に努める力。 確信したら自分の裁量でOKサインを出す胆力。

度量: 心が広くよく受け入れる性質。そのOKサインを出したのが自分であるなら、どんな結果になっても、最終的に責任は自分が取るという胆力。


最後に、ソリューションという言葉を問題解決の意味で使うのはもったいないということをお伝えします。顧客のクレーム処理のこともソリューションと呼ぶ方がいらっしゃいます。当職は、既にある人(=技術)・モノ・金・情報・空間・時間などを組み合わせて、新しい価値を作り出すことがソリューションだと考えています。個別の商品やサービスをトータルに組み合わせることで、新しい価値や仕組みを作ることが可能となります。新しいものを創ろうとする氣骨からオリジナリティーが生まれ、○×△らしさが認められるのです。

モノづくり大国として成長を成し遂げた日本の製造業の今日の課題は、量と質でアピールするのみでは魅力に乏しいという環境にあって、どう「新しい価値」を創造していくかです。そのためには、前例を頼りとせずに、前例がないことをチャンスと捉えチャレンジできる情熱が必要です。頼りにするのは自分自身なのです。精神的に自由に伸び伸びと生きることが、新しい価値の創造を始める必要条件となります。

感謝