生彩ある人生

蒼き淵の彼方よりあふれ出づる光の泉。内なるしじまと向き合いて 輝きは聖となり私(わたくし)と成す。

2008年12月

組織防衛と日本と合衆国(その4)

さて、謎の乗っ取り屋と呼ばれるスティール・パートナーズの取締役は日興コーディアル証券(日興)出身の西祐介氏であり、日興は事実上シティバンクグループの傘下です。また、かれらの乗っ取り資金は、合衆国の老舗銀行メリル・リンチからきています。

このようなスティール・パートナーズだが、ブルドックの件では、自ら起こした訴訟で、逆に裁判所から「濫用的買収者」と認定されました。グリーンメーラーであると裁判所に公式認定されたもという、とんでもない結末を手にしたのでした。

話が横道にそれてしまいました。
軌道修正しましょう。

昨日お話しましたように現行の株主割当は、取締役会が敵対的買収を防ぐポイズンピルという名の下で、会社を私物化できます。

別の表現では、保身のためにポイズンピルを活用できると言えます。これを防ごうというのが法務省の動きだと思います。

株主総会特別決議を必要とする有利発行ではない時価での第三者割当増資の話ならば、「支配権の不適切な移動」としての争点に成りはしないのですから。

『年次改革要望書』にマッチさせるには、

 岾主割当」による新株発行を総会決議として「不適切な新株発行」を防ぎ、
∋拉朿主もしくは第三者と取締役会が結託して、「支配権の不適切な移動」を起こす「第三者割当増資」に対する規制強化を行う。

という二つの方策を法務省の名でリークすべきだったのかもしれません。

今回の記事の背景には、合衆国企業が今後日本企業をより買収し易くするための合衆国政府からの圧力があると観ることができます。『年次改革要望書』には今後も目を通し、吟味する必要があります。

会社は株主のもので、取締役会のものではないという合衆国流の資本主義のルールからすると問題はありません。しかしながら、「企業は公器」と捉えるならば、問題をはらんでいるといえそうです。

最後に、わたしはロータリアンではありませんが、
アーサー・フレデリック・シェルドン氏のお話を。

彼は1921年にスコットランドのエジンバラで開催されたロータリアン国際大会で、職業は利益を得るための手段ではなく、その職業を通じて社会に奉仕するために存在するのであり、儲けを優先しようとして事業を営むことが、事業に失敗する最大の原因であると述べました。彼の「全分野の職業人のためのロータリー倫理訓」は、わたしたちが自らの事業生活を省みる道標となります。

【第1条】自分の職業は価値あるものであり、社会に奉仕する絶好の機会を与えられたものと考えること。
【第2条】自己改善を図り、実力を培い、奉仕を広げること。それによって、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」というロータリーの基本原則を実証すること。
【第3条】自分は企業経営者であるが故、成功したいという大志を抱いていることを自覚すること。しかし、自分は道徳を重んじる人間であり、最高の正義と道徳に基づかない成功は、まったく望まないことを自覚すること。
【第4条】自分の商品、自分のサービス、自分のアイディアを金銭と交換することは、すべての関係者がその交換によって利益を受ける場合に限って、合法的かつ道徳的であると考えること。
【第5条】自分が従事している職業の倫理基準を高めるために最善を尽くすこと。そして、自分の仕事のやり方が、賢明であり、利益をもたらすものであり、自分の実例に倣うことが幸福をもたらすことを、他の同業者に悟らせること。
【第6条】自分の同業者よりも同等またはそれに優る完全なサービスをすることを心がけて、事業を行うこと。やり方に疑いがある場合は、負担や義務の厳密な範囲を越えて、サービスを付け加えること。
【第7条】専門職種または企業経営者の最も大きい財産の一つこそ、友人であり、友情を通じて得られたものこそ、卓越した倫理にかなった正当なものであることを理解すること。
【第8条】真の友人はお互いに何も要求するものではない。利益のために友人関係の信頼を濫用することは、ロータリーの精神に相容れず、道徳律を冒涜するものであると考えること。
【第9条】社会秩序の上で、他の人たちが絶対に否定するような機会を不正に利用することによって、非合法的または非道徳的な個人的成功を確保することを考えてはならない。物質的成功を達成するために、他の人たちが道徳的に疑わしいという理由から採らないような、有利な機会を利用しないこと。
【第10条】私は人間社会の他のすべての人以上に、同僚であるロータリアンに義務を負うべきではない。ロータリーの神髄は競争ではなくて協力にあるからである。ロータリーのような機関は、決して狭い視野を持ってはならず、人権はロータリークラブのみに限定されるものではなく、人類そのものとして深く広く存在するものであることを、ロータリアンは断言する。さらに、ロータリーは、これらの高い目標に向かって、すべての人やすべての組織を教育するために、存在するのである。
【第11条】最後に、「すべて人にせられんと思うことは、他人にもその通りにせよ」という黄金律の普遍性を信じ、我々が、すべての人にこの地球上の天然資源を機会均等に分け与えられた時に、社会が最もよく保たれることを主張するものである。

(終わり)

今年一年、お読みいただき、ありがとうございます。
本年以上に来年も良き年でありますよう願っています。

みなさんの健康と豊かさを祝して、乾杯♪

感謝

組織防衛と日本と合衆国(その3)

にもかかわらず、ネバー・ギヴアップの精神で、
その後当方は、以前からの友好的な株主たちと相談して、
時間をかけて株を彼らから買い取り持株比率を戻します。
さらに、弁護士法人とタイアップして対策を練るでしょう。

この工程で、彼らの利益相反などの違法行為の証拠を集め、
定時株主総会で彼らと再勝負して勝ちを手にするというシナリオを画きます。
必要時間は、まる2年間です。

彼らが送り込んできた役員たちは、その株主総会で任期ですから、任期満了当日に当方が3分の2超株主として再任を決議しなければいいだけです。

でも、ここで終わらないで下さい。
彼らが違法行為を行ったということを記録に残しましょう。
任期満了当日にあえて当方が解任決議を動議し、採決したことを議事録に明記しておくのです。

ここまで乗っ取り屋が取締役会に入り込んでから3年以上、
乗っ取られてからまる2年かけ、完璧に彼らを消し去ることができます。

きっと読者みなさんの会社にも、乗っ取り屋がやってきて、
あの手この手の乗っ取り劇を経験なさっていると思いますが、
何が何でもネバー・ギヴアップの精神で、
消え去っていただきましょう。

ある日突然、このような目にあえば、
まったく覚悟をなさっていない経営者は、
間違いなく精神的に打撃を被ります。

会社を乗っ取る前後、乗っ取り屋は当方の悪口を
株主や顧客に吹聴してまるのが普通なのですから。

また、彼らに取締役会を支配されている間に、
億単位の現金をさまざまな形で会社から持って行かれるのも普通です。

この現実は、多くの企業の敵対的買収でもよく見受けられることです。

特定の株主ではなく、既存株主全員に対してだから有利発行にならないという理由で、取締役会決議だけで、好き勝手な株価で株主割当増資ができるという現行の制度は、問題があります。「抜け穴」と呼ばれる所以です。

おそらく法務省が改正したいのも、時価発行での「第三者割当増資」のことではなく、この「株主割当増資」の問題のことだと思います。

今は昔の堀江ライブドアがフジテレビから行なわれたのも、第三者割当増資ではなくて、株主割当増資でした。ですから、総会決議なしで、取締役会決議のみでできたのです。

フジテレビの顧問弁護士法人は、当然、当時の時点で合法的な方法しか用いるはずがありません。また、フジテレビが行ったのは、事前登録制度を利用して、通常25日かかるところを14日で株主割当増資ができるというものです。こういう買収対抗策を総合して「ポイズンピル」と呼んでいます。

ライブドア側は、これは特定の株主を排除するための事実上有利発行ではないかという論理で、最高裁判所に持ち込み、フジテレビが負けて、ライブドアが勝ちました。

フジテレビのプレスリリースには、株主割当増資がポイズンピルであることを自ら明記しているのです。以下、引用です。

☆ ☆ ☆
内容・条件を修正すれば向上に資すると判断した場合、当社は、買収者と鋭意、交渉し、内容・条件を修正するように促します。その上で、適切な内容・条件に修正されない場合には、当社は、株主の利益・企業価値を守るため様々な手段・方策を採ります。また、株主の利益・企業価値を毀損するものと判断した場合、当社は、株主の利益・企業価値を守る様々な手段・方策を速やかに採ります。株主割当増資も、このような株主の利益・企業価値を守るためのひとつの選択肢であると認識しております。株主割当増資を行う場合は、取締役会で、発行新株式数、発行価額(時価を下回る可能性もあります)等の発行条件及び将来の割当期日を決定し、割当期日の2週間以上前に公告いたします。その割当期日における株主名簿(実質株主名簿を含みます)上の株主(実質株主を含みます)の皆様にその持株数に応じて平等に新株を引き受ける権利が割り当てられることになります。
☆ ☆ ☆

このポイズンピルが効くのは、通常敵対的買収は、LBOの形を取ります。つまり、買収先の資産を事実上の担保に借り入れや私募CBで資金を調達します。ところが相手先が、フジテレビのリリースにあるように、「時価を下回る発行価額」で株主割当増資を大量にされると、それまで、持株比率を維持するためにつぎ込んだ資金が一氣に稀釈化し、さらに大量の資金を入れないと買収の意味がなくなります。こうなると、LBO資金の提供元にとっては、資金効率が悪くなりますから、LBOから手を引くモーチベーションになります。

この手の資金の提供者たちには、ヘッジファンド・投資銀行・CDS詐欺集団などがいます。ライブドアの場合は最近倒産したリーマン・ブラザーズでした。また、昨年ブルドックソース乗っ取りで登場したのはスティール・パートナーズでした。

(つづく)

組織防衛と日本と合衆国(その2)

現行の会社法でも、第三者割当て増資は株主総会の特別決議が必要です。
特別決議は、出席した当該株主の議決権の3分の2以上。
特定の第三者に株式を特定の価格で割り当てることは他の株主と公平にならないから、第三者割当て増資は特別決議になります。
「有利発行」と言われるものです。

もしかするとこの記事は、「第三者割当増資」ではなく「株主割当増資」の話なのかもしれません。

1)株主割当増資:既存の株主からの出資を受けて会社の資本金を増やす

2)第三者割当増資:株主以外の第三者からも出資を受けて会社の資本金を増やす

上記いずれかの方法で増資手続きを行い、資本金を増やすことを「増資」と言います。なお、増資手続は管轄法務局にて登記を行うことが必要です。

時価発行での第三者割当増資は、公開会社なら取締役会決議だけで可能という特則がありますが、株価が時価だったら、別に規制する理由は見当たりません。

時価を違法に取締役会が第三者と結託して操作して一時的に下げるとかの可能性があるならば、問題です。しかしながら、それは現行法で取り締まることができます。

取締役が保身目的に実施するのが、株主割当増資。
総会決議であらかじめ発行可能総株数(授権枠)に余裕をつくり、
取締役会決議のみで枠内で増資するのが通例です。

株主全員に株を平等に引き受ける権利を割り当てるから、
有利発行にならないという解釈になります。

ただ、この場合、大株主が現在の持株比率を維持しようとすると、
その持株比率分の資金が必要なので、
資金を大量につぎ込まないと維持できず、買収に困難が伴います。

ご存知のように、取締役会を支配すると会社を乗っ取ることができます。

法律事務所と組むベンチャーキャピタル企業などの手口はここを基点とします。
経験から言うと以下のような流れで乗っ取りが行なわれます。

1)まず、当社に出資をしてくれる。
2)次に、当方の経営負担を減らすという名の下、
  取締役の過半数を送り込んでくる。
3)そして、当方が不在の日に取締役会を開く。
4)その取締役会決議で大量新株の株主割当を決議する。
5)取締役会の過半数を押さえられているのなら
  出席したところで強行採決されてしまう。

これは、当方が株式の3分の2超を維持していても、総会決議なしで発行されます。

もし、株主割当増資の株価が想定時価より大分低くされていて、当方の持株比率を維持するには、25日以内に億単位のマネーを準備する必要があるとします。この場合、必要性を感じなければ振り込みオファーに対し“NO”と応えましょう。

それだけ資金を準備するなら、別に会社をつくることができるのですから。

彼らは当方が応じないことを確認して、当方の持株比率を51%未満にするのに必要なだけの最小限の出資を低い株価でオファーしてくるでしょう。

これは法の抜け穴を利用した典型的な敵対的買収です。
これを仕掛けるベンチャーキャピタル側は、ゲーム感覚で事に当たる場合が多いでしょう。

この間、当方は臨時株主総会の開催を株主として主張しても、取締役会の過半数を支配した彼らは応じないのが通例です。

結果、当方の持株比率は51%未満に引き下げられ、
会社は乗っ取られるに違いありません。

もし、臨時株主総会を開催したなら、当方はこの取締役たちを全員解任できます。
取締役の解任は特別決議で3分の2の議決が必要ならば、新株発行の決議の時点で当方は、3分の2超持っているのですから法を遵守しつつ彼らを解任できます。

しかし、現実はそう容易に思惑通りに動くとは限りません。

(つづく)

組織防衛と日本と合衆国(その1)

12月7日の日本経済新聞朝刊の一面に、『第三者増資、総会決議を義務化 法務省、会社法改正で検討』と題された記事が掲載されました。以下、引用します。

☆ ☆ ☆
法務省は、買収防衛などに活用される第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った。現行法では事実上、取締役会の判断で新株を発行できるが、株主総会の決議を義務付ける方向。来年秋にも法制審議会(法相の諮問機関)で始める会社法の次期改正論議で論点の1つとし、2011年の通常国会への改正案提出をめざす。
 第三者割当増資は取引先や提携先の企業など特定の第三者に新株を割り当てる資金調達方法。1株当たり利益の縮小や投資ファンドなどへの経営権の移動も考えられるため、少数株主や外国人投資家らから規制強化を求める声が強まっていた。
☆ ☆ ☆

この件に関し、ご質問がありましたのでお答えいたします。

これは今年10月15日に公開されたばかりの合衆国政府から日本国への2009年版の対日要求(『年次改革要望書』)を傍らに置いて読みすすめると、見えてくるものがあります。

実際、合衆国政府からの(『年次改革要望書』)には、以下のように書かれています。

以下、仮訳からの引用です。

☆ ☆ ☆
II-D. 少数株主の十分な保護の確保
II-D-1. 以下の事例に関する義務に対応した、取締役および支配株主に対する明確な善管注意義務を確立するため、会社法およびその他必要な法令を改正する。
(i)支配株主と企業間の取引を含む自己取引、
(ii)少数株主のスクイーズ・アウト、
(iii)企業機会の私物化。
詳論 2 1
II-D-2. 少数株主が取締役会またはその他の株主の行動により不当に不利益を被ることがないことを確保する最善の国際的慣習に従い、上場規則およびその他の自主規制の効果を強化するため、このような規則の改正を含む包括的な措置を2009年3月までに策定・実施するよう、証券取引所に促す。特に、以下の項目に関して規制強化を行うよう証券取引所に促す。
II-D-2-a. 不適切な新株発行、支配権の移動を生じさせ得る第三者割当、株式併合およびその他の手続きを通じた、既存株主の価値・議決権の希釈化。
II-D-2-b. 単独の支配株主を持つ上場企業に関する場合等、少数株主の利益を代表する十分な人数の独立取締役の選任。
☆ ☆ ☆

このように明瞭に、
「少数株主のスクイーズアウト」は止めよ、
「企業機会の私物化」は止めよ、
そのために「会社法改正」せよと書かれています。

また、「I-D-2-a. 不適切な新株発行、支配権の移動を生じさせ得る第三者割当、株式併合およびその他の手続きを通じた、既存株主の価値・議決権の希釈化」と明確に記されているのは興味深いことです。

「不適切な新株発行」とは、後日述べる「株主割当増資」ポイズンピルのことです。

また、「支配権の移動を生じさせ得る第三者割当」というのは、総会決議が必要ですが、これも取締役会と既存支配株主が結託すればできる買収防衛策です。もちろん、取締役会がヘッジファンドなどと組んで不当に時価を下げた上で、取締役会決議だけで時価による第三者割当増資をすることも含まれているのかも知れません。

『年次改革要望書』を受けて、民主党との政権奪取抗争の中で、合衆国オバマ新政権の支援を必要とする自由民主党・麻生政権が、「わたしたちは『年次改革要望書』を忠実に実行することをお約束しますよ」と言うメッセージを送ったと観ることができます。

(つづく)
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