人材派遣を業務とする法人A社へ、求人履歴書が届かなくなった。履歴書送付者の数人から問い合わせがあったが、届いていないので確認できませんでした。

異変を察知した、所長が郵便局に問い合わせ調べてもらうと、同市内の別の住所へ『転居届け』が出されており、郵便物は2週間前からすべて、そこへ郵送されていたといいます。

日本郵政株式会社では、利用者の利便性を図るため、転居届は専用はがきに旧住所や新住所などを記入し、ポストに投函(とうかん)またはインターネットで送信しておけば受理することになっています。この場合、転居の事実を確認するため、原則として社員は郵便物の転送開始希望日より前に旧住所を訪れることになっているようです。しかし、A社への確認はありませんでした。転居をしたかどうかの確認があれば、もっと早く被害に氣づけたはずです。

【A】企業防衛の立場から

1)求人広告掲載の折、事実を報告し、履歴書送付者(差出人)に対して、調査制度があり、近くの郵便局又は日本郵政サービス相談センター(0120-232886)にお申出いただきたい旨告知する。

2)電話での問い合わせに対しても、事実を報告し、被害者に対して、調査制度があり、近くの郵便局又は日本郵政サービス相談センター(0120-232886)にお申出いただきたい旨告知する。

3)「転送不可」の郵便は転送できない慣習になっている。だから、今後、履歴書送付者には、封筒の表に、『転送不可』と赤書きして赤の四角で囲うよう、募集要項に書いておいた方が良い。これは普通郵便でもOK。出来るだけ目立つようにしてもらえると、配達員のミスも少なくなるであろう。

【B】日本郵政株式会社に対して

1)「調査制度」を使ってその結果を郵便局に報告してもらう。届くはずの郵便物が届かなかったりした場合には、調査制度があり、近くの郵便局又は日本郵政サービス相談センター(0120-232886)に申出る。郵便物の流れに沿って関係する郵便局を調査し、その結果を知らせてくれる。

2)普通郵便の誤配には保障がない。無くなった郵便物が普通郵便の場合は本来賠償責任を問うことができないものだが、この件の場合それ以前の対応ができていないと思われるので、そこを日本郵政に伝え、責任を追及する。しかしながら、最終的には差出人、受取人双方にお詫び、再発送の際の郵便料金の無料化、今後の再発の防止を誓うぐらいしかしないと考えられる。これまでにも、勝手に他人が転居届けを提出することはあったが、いずれも当該郵便局への厳重注意だけにとどまっているようだ。

【C】偽装者・加害者Xに対して

1)警察への刑事告訴:加害者Xが転居・転送届を勝手に日本郵政へ提出したのは、「有印私文書偽造」と「同行使」に該当する。日本郵政へも連絡の上、警察へ告訴することはできる。

2)損害賠償、慰謝料を請求:今回の件で何らかの損害が発生している場合、損害賠償の請求が可能。また精神的苦痛などの慰謝料も請求できるが、これは加害者Xとの話し合いになる。もちろん請求に応じなければ、司法に判断を仰ぐことになるが、弁護士費用によっては、金銭的にマイナスになる場合もある。


以上、3つの観点から対応を考えてみましたが、現状では予防策が見当たりません。しかしながら、例えば、「離婚届け」の場合、合意なしに夫婦のどちらかが勝手に離婚届を出してしまうという不安がある場合、役所に「離婚届の不受理申出書」を出しておくと、離婚届は受理されません。離婚の不受理申出書の効力は6ヶ月間。6ヶ月を経過しても、離婚届を受け付けたくないのであれば、再度、不受理申出書の届出をします。また、この不受理申出書は「不受理申出取下書」を出すことで、いつでも撤回できます。このような制度を「転居届け」に付け加えることが必要です。

参照:
郵便物等が届かないなどの調査のお申出