明日から新年度です。

政府の知的財産戦略本部(http://www.ipr.go.jp/)は、違法アップロードの監視などを義務づけるプロバイダー責任制限法の改正について専門調査会で検討しており、夏頃に公表される『知的財産推進計画2010』では討議結果が開陳されます。

ところで、昨年の通常国会で成立し、今年1月1日に施行された改正著作権法では、著作権を侵害して違法にインターネット上にアップロードされたコンテンツ(音楽・映像)のダウンロードは、私的利用目的であっても禁じられています。ただし、アップロードの違法性を知っていた場合のみ適用され、罰則はありません。改正前は、私的利用目的であれば違法ではありませんでした。

改正著作権法のポイントです。

(1)コンテンツの違法な流通防止
・ダウンロード違法化
・海賊版のネット通販の申し出の違法化

(2)ネットによる著作物利用の円滑化
以下のものなどは権利者の許諾なく行えます。
・検索サイトサービスのための複製
・国立国会図書館所蔵資料の電子化
・権利者が所在不明の放送番組の2次利用
・ネット販売の美術品の画像掲載

(3)障害者の情報利用確保
以下のものなどは権利者の許諾なく行えます。
・公共図書館による障害者のための録音図書作製
・聴覚障害者のための映画、番組への字幕や手話の付与

ダウンロード違法化に続き、ネット上の著作権保護の機運が高まるでしょうが、同時に「フェアユース(fair use)」の議論も高まっていくに違いありません。

これは、合衆国の著作権法などが認めている著作権侵害の主張に対する抗弁事由の一つです。わが国では、日本国著作権法30条〜47条の3によって定められた範囲を超えて著作物を利用した場合に、フェアユースの抗弁によって著作権侵害を否定できるかが論点となりえます。しかしながら、著作権法1条(法目的)「文化的所産の公正な利用に留意」の文言に基づいてフェアユースの抗弁を認める説はあっても、今日までそれを認めた裁判例はありません。

合衆国では、デジタル利用を中心に図書館関係の著作権制限規定について図書館関係者と権利者団体等で検討されており、法制のあり方について報告されています。鳥澤孝之氏の『CA1604 - 日米における著作権法の図書館関係制限規定の見直しの動き』は問題の本質を上手く伝えています。ご一読ください。⇒http://current.ndl.go.jp/ca1604

良き新年度にして参りましょう。

感謝