セイコーホールディングス(HD)は昨日4月30日、村野晃一会長兼社長(72)を同日付で解任して非常勤取締役とし、後任の社長に創業家出身の服部真二副社長(57)を充てる人事を決めました。服部新社長は大株主の服部礼次郎名誉会長(89)のおいで養子ですが、解任された野村氏は礼次郎氏の影響下にあったようです。老舗企業でのこの手のトップ交代は、極秘裏に行なわれるものですが、「お家騒動」としてマスコミで騒ぎとなりました。自然、企業価値に瑕(きず)がつきます。

日本経済新聞電子版の産業部・佐藤記者による「服部家に何が起こったか・セイコーHD社解任劇」は、同社の5名の監査役が動き、3月に第三者委員会を設置したことを始め本件内容が詳しく記されています。

今回の社長解任の取締役会での議決は実に興味深いものがあります。セイコーHD社では取締役6名及び監査役5名による取締役会が開催され、社外取締役の1人が代表取締役の解職に関する緊急動議を出し、取締役3人がこの解任に賛成したことになっています。3対2で解任が可決されたのは、村野社長自身が「社長解任」議案につき「特別利害関係者」に該当し、議決権を有しないからだと考えられます。同時に、社外取締役は、「副社長を代表者に選任すること」を提案しています。

ある取締役を選任する場合に、当該取締役は「特別利害関係者」には該当しないので議決権はあるでしょうし、選任対象取締役が自らを社長に選任する提案に賛成するのは自然、納得がいきます。ところが、数分前に解職された村野前社長も、取締役たる地位にありますから、議決権を有しています。

ならば、彼は何故、副社長が選任される際に反対票を投じなかったのでしょう。もし、そうしたのなら、3対3となり、議案「副社長を社長に選任すること」は成立しませんでした。セイコーHD社の定款には、「賛否同数」の場合の議長決裁権限もみあたりません。オプションとして考えられるのは、服部新社長が取締役会の議長に就任した直後、解職されたばかりの村野前社長が、新社長の解職を求める緊急動議を出すことです。すると今度は、服部新社長が「特別利害関係者」となり、議決権を有せずに解職されることになります。

参照:セイコーHD社定款⇒http://www.seiko.co.jp/ir/management/pfd/teikan.pdf

ですから、今回のような社長解任劇が何故、誕生したのか不思議なのです。株主からの提訴請求がなされた3月から、株主代表訴訟となることをシミュレートした結果のシナリオでしょうか。今後のセイコーHD社の監査役会の動向から真相が見えてくるかもしれません。

閑話休題(ソレハサテオキ)。

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