「緊急その他やむをえない場合」を想定していなかった現実が、これからの「緊急事態」という未来を形成します。自然、問題解決の投下資源(必要要素)である時間量(日数)を試算できないでいます。これを契機に、問題解決のフィールド(視野)を医療テクノロジーから公衆衛生テクノロジー(※注)へとシフトさせたいところです。医療テクノロジーマター(問題)に矮小化してはいけません。
新型肺炎、一般病床で入院可能に 流行備え厚労省通知
(日経 2020/2/11 17:29 (2020/2/11 21:35更新))
救急車がクルーズ船から離れ、ふ頭から出ていった(11日、横浜・大黒ふ頭)=共同
クルーズ船
  厚生労働省は11日までに、新型コロナウイルスの感染者について専用設備のある「感染症病床」以外の一般病床での入院も認めるとの通知を出した。感染症病床は全国に約1800床しかなく、国内で流行した場合、入院先が不足する事態が懸念されていた。クルーズ船の集団感染のほか、今後、国内で感染者が急増する事態に備えるため、医療提供体制を整える。
  一方、同省は感染が強く疑われる場合は、国の検査基準に該当しなくても自治体の判断で柔軟にウイルス検査するよう求める通知も出した。現在は中国湖北省に滞在歴がある人や、その濃厚接触者に検査対象を限定しているが弾力的な運用を求め、検査の網を広げる。
  同省担当者は「現在は国内で流行している状況にないが、先行して医療体制や検査体制を拡充する」と説明している。
  全国の指定医療機関にある感染症病床は、ウイルスが室外に漏れないように気圧を下げた「陰圧室」になっている。通知では「緊急その他やむをえない場合」は、感染症病床以外や指定医療機関以外に入院させることも可能とした。
  対象として、個室で患者を管理でき、マスクやゴーグルなど院内感染を防ぐ器具を確保できている施設を想定。感染者同士なら相部屋とすることもできるとしている。
  国内では、感染者の確認が相次いでいる。横浜港で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では感染者が135人となった。11日には、政府のチャーター機で帰国した邦人男性2人が陽性となったことを新たに確認したと厚労省が発表。国内の感染確認はクルーズ船を除くと28人となった。
  同省によると、11日に新たに陽性が確認されたのは第1便で帰国した50代男性と第2便の40代男性。いずれも帰国直後に検査を受け、当時は陰性の判定だった。
  50代男性はその後千葉県内のホテルに滞在。2月7日になって発熱やせきが出たため入院していた。40代男性は子供連れで帰国し、最初の検査後に埼玉県の自宅で待機していた。2月8日に発熱、10日に同県の医療機関を受診した。厚労省は家族らに感染の恐れがないか調査する。
  チャーター機による帰国者を巡っては、厚労省は11日、第1便で帰国後に陰性が確認され、症状が出ないまま千葉県のホテルなどに滞在している197人の再検査を始めた。陰性であれば12日以降に帰宅する見通し。
  検査数が急増していることを受け、厚労省は民間の病院や検査機関にもウイルス検査の協力を要請した。


(※注)公衆衛生の定義
合衆国の公衆衛生学者ウインスロウ(Winslow, C. E. A.:1877〜1957)
公衆衛生とは、環境の衛生、伝染病の予防、個人衛生に関する衛生教育、疾病の早期診断と治療のための医療および看護サービスの組織ならびに健康保持に必要な生活水準を各人に保障する社会機構の整備を目的とした共同社会の組織的努力を通じて、疾病を予防し生命を延長し身体的・精神的健康と能率の増進を図り、すべての住民に生来の権利である健康と長寿を得させるため、組織的に上記の成果を取りまとめようとする科学および技術である。

日本国憲法第25条
すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉・社会保障および公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

「共同社会の組織的努力を通じて」というテクノロジーに特徴があります。最近の日本社会の流れは、「自分の健康は自分で守ろうと」というセルフケア能力を高める健康づくりのテクノロジーへとシフトしています。いつのまにか「共同社会の組織的努力」がスポイルされてしまったのかもしれません。

(追記)
感染症対策が弱体化
田村智子氏 公務員削減告発

(赤旗 2019年4月23日(火))
  日本共産党の田村智子議員は、9日の参院内閣委員会で、国家公務員の定数削減による国立感染症研究所(感染研)の機能の「弱体化」について追及しました。
  感染研は感染症の基礎・応用研究、ワクチンなどの国家検定、感染症の流行状況の監視など感染症対策の中核を担っています。研究者、職員が感染症の流行などの危機対応に直接あたることから、多くの国立研究機関と違って独法化はされず国の直轄研究所として維持されています。感染研にも一律の定員削減が行われ、特定の専門家が定年退職をしても新規採用がされず研究の継続性や弱体化が進んでいます
  田村氏は、感染研の外部評価委員会がいずれの感染症にも対応できる研究基盤の確立・維持向上が必要であり、希少感染症の専門家が定員削減によって維持されなければ、わが国からその分野の専門家が消滅する事態を招きかねないとしていることを指摘。国境を超えた人と物の移動拡大など感染症対策の重要性が高まっているにもかかわらず感染症対策が弱体化していると主張しました。
  大口善厚生労働副大臣は「感染研は国民の生命・安全に関わる危機管理業務を行っている。その重要性にかんがみ予算、定員を確保していきたい」と答えました。


生彩ある人生@下段の注意20200103