南方熊楠(1867年5月〜1941年12月)は、彼独自の世界観を立て、「南方マンダラ」の図を残してくれました。ここに「萃点(すいてん)」というさまざまな物ごとの「ことわり(理)」が通過し、交差する地点を描写。彼は「萃点」を押さえてそこから始めたら、物ごとの研究ははかどると言います。両界曼陀羅における大日如来でしょうか。「萃点」は、南方熊楠の造語。「萃」は「萃聚(すいしゅう:あつめる・あつまる)」とか「萃美(すいび:よいものをあつめる)」また「抜萃(抜粋)」と使われように、「あつめる」の意味です。萃点では、すべての人々が出会い、異質なものが相互に交流または衝突することで影響し合う場が形成。それは1903(明治36)年7月18日付の土宜法竜(どぎ・ほうりゅう)宛書簡の一部に見ることができます。この書簡には、仏教の「因縁」の「因」は因果律(必然的法則)のことで、「縁」は偶然性であると指摘して、偶然性の大切さも記されています。

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南方マンダラ(南方熊楠顕彰館蔵)
1903年7月18日付の土宜法龍宛書簡に記された図。熊楠はこの図について、「この世間宇宙は、天は理なりといえるごとく(理はすじみち)、図のごとく(図は平面にしか画きえず。実は長、幅の外に、厚さもある立体のものと見よ)、前後左右上下、いずれの方よりも事理が透徹して、この宇宙を成す。その数無尽なり。故にどこ一つとりても、それを敷衍追及するときは、いかなることをも見出し、いかなることをもなしうるようになっておる」と解説している。 なお、熊楠は「曼荼羅」ではなく「曼陀羅」を使用する。(https://www.minakata.org/?page_id=414より引用)

鶴見和子女史(1918年6月〜2006年7月)は、以下のように説明なさっています。
  宇宙には、事不思議、物不思議、心不思議、理不思議があると南方はいう。近代科学が比較的うまく処理しつつあるのは、物不思議である。数学や論理学は、事不思議を解くが、形式論理学では、複雑な事不思議を十分に解き明かすことはできない。心不思議、理不思議に至っては、近代科学ではまだわからないところが多い。(上図の)曼荼羅は、世界宇宙のすべての現象および物事の相互関連のみちすじ(理)を示したものであって、そのみちすじは無限であるが、「どこ一つとりても、それを敷衍追求するときは、いかなることもなしうるようになっておる」という。
  どこをとっても、すじみちを辿ってゆけば、おなじ真理に到達するはずなのだが、辿りつきやすい道と、辿りつきにくい道とがある。図の中に、(イ)(ロ)(ハ)(二)・・・・・(ヌ)(ル)と記されているのは、(イ)がもっとも多くのすじみちのあつまるところで、ものごとの説明をするのに、最も重要なポイントである。(ヌ)(ル)は遠縁である。最も多くのすじみちのあつまる(イ)を、南方は「萃点(すいてん)」とよぶ。ここをおさえることが、謎解きのカギである。
  物不思議というのは、人間の意識と離れて存在するものの間の客観的法則をさしている。心不思議は、人間意識に関する法則である。南方が最も関心をもったのは、物と心との相互作用の結果として生ずると南方が定義した、事不思議にかんする法則である。(鶴見和子著「南方熊楠」・講談社・昭和53年、78‐79頁)より引用

熊楠は1911年10月25日付け柳田國男宛書簡で、数学者・法学者・外交官であったライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz:1646年7月〜1716年11月)について「ドクター・ユニヴァーサル(一切智)といわれし」と記しています。ライプニッツの「グローバルナレッジ」という構想を彼は「一切知」と訳したのでした。翌1912年、45歳の熊楠は地方紙の連載原稿の末尾に「大東一切智 南方熊楠」と署名した。つまり、自らを「東洋の一切智」と称したのであった。「一切智」は、無辺無数の衆生の心とその能力の“一切を知る”という意味。

自分の与えられているものだけにフォーカスし、それが最大限の幸せまたは不幸だと決め付けて現状維持に慢心するのは、いかがなものでしょうか。一切智を持ち本氣で考え、自分が想い描いた夢・希望・生彩ある人生をめざして一歩踏み出そうではありませんか。

今日ある自分が、明日あるとは限りません。
今日が最後だとの想いを常に持ちたいものです。

目の前の人に対して、苛立ちを一切無にして、やさしくなりたいときには、「今日が最後であったなら」と考えるようにしています。

今年も残すところ196日。
時が過ぎゆくの実に早いですね。
多くの皆さまにこの『生彩ある人生』を読んでいただいております。
本当に、ありがとうございます。
「萃点」を押さえてから物事の研究を始めるべく、努力精進いたします。
これからもよろしくお願い致します。

さあ、大きな笑顔で、生彩ある日々を過ごして参りましょう。

生彩ある人生@下段の注意20200103