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湛山の故郷 山梨県南巨摩郡富士川町丸山林道からの富士山


石橋湛山氏(1884年9月〜1973年4月)は、「政治家の私利心が第一に追求すべきものは、財産や私生活の楽しみではない。国民の間にわき上がる信頼であり、名声である。これこそ、政治家の私利心が、何はさておき追求すべき目標でなければならぬ。」(1968年「日本防衛論」)と書きました。さまざまな老害の政治を続けた元老・山県有朋氏(1838年6月〜1922年2月)の死に際し、彼は『死もまた社会奉仕』と痛烈な文章を書きました。「山縣有朋のような人間が亡くなることは、いわば日本の社会のためにいいのだ」というようなことを書いたのでした。彼は、軍備を持ち領土拡大する大日本主義の幻想にエネルギーを使うべきではなく、貿易・商売を友好的にやるほうがずっと安上がり、無駄遣い(浪費)がないのだという経済視点を織り込んだ「小日本主義」という思想・哲学(日本の民衆が目指す日本社会のあり方)を唱えた方です。
一切を棄つるの覚悟
我が国の総ての禍根は、小欲に囚われていることだ。志の小さいことだ。古来無欲を説けりと誤解せられた幾多の大思想家も実は決して無欲を説いたのではない。彼らはただ大欲を説いたのだ。大欲を満たすがために、小欲を棄てよと教えたのだ。〜 もし政府と国民に、総てを棄てて掛かるの覚悟があるならば、必ず我に有利に導きえるに相違ない。例えば、満州を棄てる、山東を棄てる、その支那が我が国から受けつつありと考えうる一切の圧迫を棄てる。また朝鮮に、台湾に自由を許す。その結果はどうなるか。英国にせよ、米国にせよ、非常の苦境に陥るだろう。何となれば、彼らは日本にのみかくの如き自由主義を採られては、世界におけるその道徳的地位を保つ得ぬに至るからである。そのときには、世界の小弱国は一斉に我が国に向かって信頼の頭を下ぐるであろう。インド、エジプト、ペルシャ、ハイチ、その他の列強属領地は、一斉に日本の台湾・朝鮮に自由を許した如く、我にもまた自由を許せと騒ぎ起つだろう。これ実に我が国の地位を九地の底より九天の上に昇せ、英米その他をこの反対の地位に置くものではないか。        1921(大正10)年『東洋経済』社説

ところで、テロとは無分別な暴力です。こうした無分別の暴力により主張を広めることに、妥協してはいけません。たとえ、テロリストの主張に部分的なりとも共感しても、それを認めて彼/女らの行為に同意または賛成はできません。作家で法大教授の島田雅彦氏(1961年3月生)は、安倍元首相の『暗殺が成功して良かったな』と意見したそうです。暗殺(テロ)を肯定する意見を発した自分のことを「公的な発言として軽率であった」と省みていますが、彼には職業作家(プロフェッショナル)として「日本社会」に目を向け、己の信念をかけ全霊で取り組んでいる問題(テーマ)はあるのでしょうか。元首相の暗殺という社会問題を、作家としての自分が取り組むテーマを通じて語ることができたなら、違った表現になったかのかもしれません。元首相が日本社会から姿を消して、日本社会の悪しき構造機能が改善され始めたのは周知の事実なのですから、『死もまた社会奉仕』と二番煎じ(a recycled)でもよかったのではと思います。島田氏がいかなる生活態度(哲学)を唱えているのか、どのような慧眼を以て善く日本社会を観察・展望しているのかは、私には分かりません。しかしながら、反面教師としての価値が彼にはありそうです。以下の記事を転載させていただきます。
安倍元首相の「暗殺成功して良かった」で大炎上、作家で法大教授の島田雅彦氏 発言翌日に岸田首相襲撃 夕刊フジに寄せた全文を掲載
(zakzak 2023/4/19 14:55)
 作家で、法政大学国際文化学部教授の島田雅彦氏(62)の発言が大炎上している。14日に生配信した自身のインターネット番組「エアレボリューション」で、昨年7月の安倍晋三元首相暗殺事件を念頭に、「暗殺が成功して良かった」などと発言したのだ。テロや殺人を容認したと受け取れるうえ、新たなテロを誘発しかねないだけに、ネット上だけでなく言論界からも「とんでもない発言」「リベラリズムからもかけ離れている」などと激しい批判が相次いでいる。発言翌日には、岸田文雄首相の選挙応援演説会場に爆発物が投げ込まれる事件も発生した。夕刊フジの取材に対し、島田氏は「公的な発言として軽率であった」などと長文の回答を寄せた。
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 大炎上している発言は、島田氏が、政治学者で京都精華大学准教授の白井聡氏とレギュラー出演するネット番組「エアレボリューション」で飛び出した。ゲストは、ジャーナリストの青木理氏だった。
 統一地方選・前半戦(9日投開票)の結果を踏まえて、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題や、自民党の批判、立憲民主党の惨状などが話題に上がるなか、島田氏は次のように語った。
 「こんなことを言うと、また顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれないけど、いままで何ら一矢報いることができなかったリベラル市民として言えばね、せめて『暗殺が成功して良かったな』と。まあそれしか言えない
 前後の文脈から、昨年7月の安倍元首相の暗殺事件を指すことは明白だった。笑顔を浮かべた島田氏は、続けて23日投開票の衆院山口4区補選に言及した。
 「(自民党は)うまいこと、この暗殺による被害者側の立場に立った」「(立憲民主党の元参院議員)有田(芳生)さん、頑張ってほしいですけどね」「(自民党は)『亡くなった安倍元首相の魂を受け継ぎ』みたいなことを言っている。『弔い合戦』に持ち込んだ者が何か猖啓膣殘戮鵜瓩靴心兇犬否めない
 島田氏は1961年、東京都生まれ。東京外国語大学卒。83年に『優しいサヨクのための嬉遊曲』を発表して注目される。84年に『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年に『彼岸先生』で泉鏡花文学賞を受賞。2003年から法政大学国際文化学部教授。昨年4月に紫綬褒章を受章している。
 島田氏による発言に対し、ネット上では「暗殺を是とする発想は非常に危険」「暗殺を良かったと思うのがリベラル市民なのか」「残されたご遺族の気持ちを思うと…」「思想関係なく暴力に訴えた時点で終わり」「法政大学は(中略)彼を通じて学生に何を教えるつもりだろう」「さすがにアウト」などの批判が噴出した。
 (中略)
 島田氏は一体、自身の発言をどう考えているのか。
 夕刊フジは17日夕、法政大学を通じて、島田氏に対し、「暗殺が成功して良かった」という発言の真意や、暴力による言論封殺への考えなど、4つの質問を送った=別表。翌18日午後3時に、島田氏から長文の回答が届いた。
 (中略)
【島田雅彦氏への質問事項】
 屬△琉纏Δ成功して良かった」という発言の意味・真意は
∨塾呂埜析世封じられることを、時と場合によっては良いと考えるのか
K\大学教授として「テロ行為の容認」という教育をしているのか
な送翌日、岸田首相に爆発物が投げつけられる事件が発生した。感想を

【島田雅彦氏の回答全文】
 テロの成功に肯定的な評価を与えたことは公的な発言として軽率であったことを認めます。殺人を容認する意図は全くありませんが、そのように誤解される恐れは充分にあったので、批判は謙虚に受け止め、今後は慎重に発言するよう努めます。
 ただ、安倍元首相襲撃事件には悪政へ抵抗、復讐(ふくしゅう)という背景も感じられ、心情的に共感を覚える点があったのは事実です。山上容疑者が抱えていた旧統一教会に対する怨恨(えんこん)には同情の余地もあり、そのことを隠すつもりはありません。
 さらに政権と旧統一教会の癒着を暴露する結果になったのも事実です。今回の「エアレボリューション」での発言はそうしたことを踏まえ、かつ山上容疑者への同情からつい口に出てしまったことは申し添えておきます。
 また大学の講義で殺人やテロリズムを容認するような発言をしたことはありません。テロ容認。言論に対する暴力的封殺に抵抗を覚えるのは一言論人として当然であるし、また暴力に対する暴力的報復も否定する立場から、先制攻撃や敵基地攻撃など専守防衛を逸脱する戦争行為にも反対します
 戦争はしばしば、言論の弾圧という事態を伴ってきたという歴史を振り返り、テロリズムと同様に戦争にも反対の立場であることを明言しておきます。
 一方で、安倍元首相暗殺事件や岸田首相襲撃事件を言論に対する暴力と捉える場合、これまで政権が行ってきた言論、報道への介入、文書改竄(かいざん)、説明責任の放棄といった負の側面が目立たなくなるということもありました。
 また民主主義への暴力的挑戦と捉えると、国会軽視や安保三法案の閣議決定など民主主義の原則を踏み躙るような行為を公然と行ってきた政権があたかも民主主義の守護者であったかのような錯覚を与えるという面もあります
 テロは政権に反省を促すよりは、政府の治安維持機能を強化し、時に真実を隠蔽することに繋がることもあるがゆえ、肯定的評価を与えることはできません。そのことはテロリズムを描いた拙著『パンとサーカス』でも明らかにしています。
 放送の翌日に岸田首相に爆発物が投げつけられる事件が起きましたが、歴史を振り返ると、テロリズムが世直しのきっかけになったケースはほとんどないし、連鎖反応や模倣犯を呼び込む可能性もあると改めて思いました
※長文のため、編集局で改行だけしました。


閑話休題(それはさておき)


岸田襲撃事件の動機は?木村容疑者の犯した罪とは別に事件の背景は必ず探らなければならない。今回の背景には日本の特異な「制限選挙」問題がある。解決が必要だ。』と題して、辣腕記者の佐藤章氏(1955年生) は、民心が弥(いよい)よ萎靡(いび)する日本社会に関し、歴史を通じて鮮やかな分析をしています。彼は、日本社会の不条理と社会的貧困の解消を目指し、己の信念をかけ全霊で取り組んでいるジャーナリスト(プロフェッショナル)です。

木村容疑者、安倍元首相「国葬」巡り政権批判…被選挙権訴訟の書面に記す
(読売 2023/04/18 13:39)
 岸田首相の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で逮捕された、無職木村隆二容疑者(24)が被選挙権を巡って起こした国家賠償請求訴訟で、昨年7月に銃撃されて死亡した安倍晋三・元首相の国葬の実施について政権を批判していたことがわかった。現行の選挙制度や政権への不満を募らせていたとみられる。木村容疑者は逮捕後の取り調べには黙秘している。
 木村容疑者は昨年6月、参院選(7月10日投開票)に立候補しようとしたが、公職選挙法の被選挙権(30歳以上)を満たさず、300万円の供託金も用意できないため立候補ができないのは、憲法に反するとして、国に10万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。代理人の弁護士をつけない「本人訴訟」だった。
 岸田首相は安倍氏銃撃事件から6日後、政府主催の「国葬」の実施を決定。木村容疑者は昨年に提出した訴訟の書面で国葬に触れ、「世論の反対多数の中で強行した」と記していた。
 木村容疑者は、安倍氏と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係にも言及。「組織票を持つ既存政党、政治家が選挙で有利となる」とし、立候補が制限されているとの自身の訴えと関連づけていた。
 昨年11月の1審判決は、公選法の年齢要件や供託金の制度は合理性があるとして請求を棄却。木村容疑者はこの判決を不服として大阪高裁に控訴し、今年5月に判決が予定されている
木村容疑者「参院選に立候補できず不当」…昨夏「本人訴訟」で国に損賠求め1審棄却
(読売 2023/04/18 06:30)
 和歌山市で15日、岸田首相の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された兵庫県川西市の無職木村隆二容疑者(24)が、年齢などを理由に昨年7月の参院選に立候補できなかったのは不当だとして、国に損害賠償を求めて神戸地裁に提訴し、請求が棄却されていたことがわかった。選挙制度に強い不満を持っていたとみられる。
 訴訟記録によると、木村容疑者は昨年6月に同地裁に提訴。7月10日投開票の参院選に立候補しようとしたが、公職選挙法の被選挙権(30歳以上)を満たさず、300万円の供託金も用意できないため立候補ができないとし、法の下の平等などを定める憲法に違反すると主張した。精神的苦痛を受けたとして、10万円の損害賠償を求めた。代理人の弁護士をつけない「本人訴訟」で行っていた。
 昨年11月の1審判決は、公選法の年齢要件や供託金の制度は合理性があるとして請求を棄却した。木村容疑者はこの判決を不服として大阪高裁に控訴し、今年5月に判決が予定されている
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本書を上梓することで、佐藤章氏は日本の真相を厳しく暴露しただけではなく、私たち民衆が理想の日本(社会)を自らの手で勝ち取るための処方箋として「日本政治の最大課題は、政府予算の編成権を国民の側、政治の側に取り戻すことにある。」と喝破す可き適当の辞(ことば)を持って、私たちを教導してくれています。
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