7月21日、株式会社ゲオは、「役員の異動および当社取締役1名に対する辞任勧告の決議について」と題してプレスリリース(http://www.geonet.co.jp/news/)を行いました。⇒https://www.release.tdnet.info/inbs/140120110721085532.pdf
これに対し、以下のような新聞記事が出ました。
ゲオ取締役インサイダー取引か 社内規定に違反し株売却
(2011年7月22日11時23分)
レンタルソフト大手の「ゲオ」(愛知県春日井市)の男性役員(53)が昨年、子会社株の売却を事前に知りながら、自分が持っているゲオ株式を無断で売却していたことが22日、わかった。
ゲオは21日の取締役会で社内規定に違反したとして、この役員に辞任を勧告した。インサイダー取引にあたる可能性もあるとして、証券取引等監視委員会に報告する。 http://www.asahi.com/national/update/0722/NGY201107220016.html
翌日、株式会社ゲオは「本日の一部報道について」と題して、前日に公表した取締役の辞任勧告決議は社内規定によるもので、インサイダー取引があったからではなく、あくまでも内規違反による辞任勧告であると強調しました。http://www.geonet.co.jp/news/documents/2681_20110722-1.pdf
本年6月6日の「不適切な会計処理と関係者の処分と再発防止策について」(http://www.geonet.co.jp/news/documents/2681_20110606prevention_of_recurrence.pdf)には「再発防止策(2)原因行為を早期に発見するための方策」があります。役員の方たちが抗争関係にないのなら、内部統制システムが健全に作動したと考えることができます。ここに極めて適格・厳正なコンプライアンスを見ることができ、これは株式会社ゲオの企業風土(Corporate Culture)として継承・発展されていくに違いありません。
閑話休題(ソレハサテオキ)
行政手続法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO088.html)の目的は、
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
とあります。
5月6日午後7時、経済産業省から中部電力に対して「浜岡原発の全ての発電基について停止してほしい」旨の要請がありましたが、これは行政手続法2条6号の「行政指導」であったのでしょうか。
六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
行政指導の特徴は、法に基づくものではなく、行政手続法第4章行政指導(32条〜36条)に規定されている『任意の要請』で、仮に中部電力がこの要請を拒絶しても、行政指導の一般原則としてなんら不利益を受けるものではないと32条2項に明記しています。
第三十二条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
官邸、極秘協議1か月…法的根拠なく行政指導
(2011年5月10日03時03分 読売新聞)
6日午後4時半過ぎ、菅首相が首相官邸の執務室に、海江田経済産業相、原発担当の細野豪志首相補佐官、枝野官房長官、仙谷官房副長官らを呼んだ。
4月上旬から1か月にわたり、「浜岡原発停止」を極秘裏に検討してきた中核メンバーだ。
前日の5日に浜岡原発を視察した海江田、細野両氏の報告を受け、首相の心は既に決まっていた。問題は、定期検査中の3号機のみならず、稼働中の4、5号機についても停止を求める法的根拠だった。
弁護士出身の枝野氏らが、その場で原子炉等規制法などの関連法や政令のページをたぐった。「やはり条文をどう読んでも、法的に停止を指示することは出来ない。行政指導で、中部電力に自主的な協力を求めるしかない」。異論を唱える者はいなかった。
6日午後7時10分から首相の緊急記者会見がセットされたが、中核メンバー以外の官邸スタッフには内容すら知らされていなかった。海江田氏が電話で中部電力に浜岡原発の全面停止を要請したのも、記者会見が始まるわずか1時間前だった。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00140.htm?from=top
原子力基本法にも原子力災害対策特別法にも、原発停止命令の規定がなかったことで政府は、困難な判断を強いられたことは分かりますが、「浜岡原発の全ての発電基について停止してほしい」とした目的合理性がどこにあったのかは、明らかにされていません。政府中枢の人々が何らかの目的を達成するための『行政行為』のようにも見えます。
一方、政府からのこの『任意の要請』に従うという自主的な経営判断をした中部電力の役員の方々は、今後、組織運営上の損害を生じたときには、株主代表訴訟によって法的責任を問われることを覚悟しているであろうと考えていましたところ、下記のニュースを目にしました。
住田弁護士が専門委員辞任 原子力安全委
(日本経済新聞2011/7/25 23:13)
原子力安全委員会は25日、原発の安全指針を見直す専門委員を務めていた弁護士の住田裕子氏が6月末で辞任したと発表した。住田氏は6月22日の専門部会で、中部電力浜岡原発が政治主導で停止した理由などの説明がないまま議論を進めることに対し、「お勉強会だ」(住田氏)と反発、辞表を提出していた。
中部電力のケースは、経営環境を構成する要因として国家権力(政府)からの圧力(リスク)があることを教えてくれます。日本国の風土(State Culture)として再認識する必要があります。
さあ、今日から8月の始まりです。
大きな笑顔で一層、氣を引き締めてまいりましょう。
油断は禁物です。
感謝
これに対し、以下のような新聞記事が出ました。
ゲオ取締役インサイダー取引か 社内規定に違反し株売却
(2011年7月22日11時23分)
レンタルソフト大手の「ゲオ」(愛知県春日井市)の男性役員(53)が昨年、子会社株の売却を事前に知りながら、自分が持っているゲオ株式を無断で売却していたことが22日、わかった。
ゲオは21日の取締役会で社内規定に違反したとして、この役員に辞任を勧告した。インサイダー取引にあたる可能性もあるとして、証券取引等監視委員会に報告する。 http://www.asahi.com/national/update/0722/NGY201107220016.html
翌日、株式会社ゲオは「本日の一部報道について」と題して、前日に公表した取締役の辞任勧告決議は社内規定によるもので、インサイダー取引があったからではなく、あくまでも内規違反による辞任勧告であると強調しました。http://www.geonet.co.jp/news/documents/2681_20110722-1.pdf
本年6月6日の「不適切な会計処理と関係者の処分と再発防止策について」(http://www.geonet.co.jp/news/documents/2681_20110606prevention_of_recurrence.pdf)には「再発防止策(2)原因行為を早期に発見するための方策」があります。役員の方たちが抗争関係にないのなら、内部統制システムが健全に作動したと考えることができます。ここに極めて適格・厳正なコンプライアンスを見ることができ、これは株式会社ゲオの企業風土(Corporate Culture)として継承・発展されていくに違いありません。
閑話休題(ソレハサテオキ)
行政手続法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO088.html)の目的は、
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
とあります。
5月6日午後7時、経済産業省から中部電力に対して「浜岡原発の全ての発電基について停止してほしい」旨の要請がありましたが、これは行政手続法2条6号の「行政指導」であったのでしょうか。
六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
行政指導の特徴は、法に基づくものではなく、行政手続法第4章行政指導(32条〜36条)に規定されている『任意の要請』で、仮に中部電力がこの要請を拒絶しても、行政指導の一般原則としてなんら不利益を受けるものではないと32条2項に明記しています。
第三十二条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
官邸、極秘協議1か月…法的根拠なく行政指導
(2011年5月10日03時03分 読売新聞)
6日午後4時半過ぎ、菅首相が首相官邸の執務室に、海江田経済産業相、原発担当の細野豪志首相補佐官、枝野官房長官、仙谷官房副長官らを呼んだ。
4月上旬から1か月にわたり、「浜岡原発停止」を極秘裏に検討してきた中核メンバーだ。
前日の5日に浜岡原発を視察した海江田、細野両氏の報告を受け、首相の心は既に決まっていた。問題は、定期検査中の3号機のみならず、稼働中の4、5号機についても停止を求める法的根拠だった。
弁護士出身の枝野氏らが、その場で原子炉等規制法などの関連法や政令のページをたぐった。「やはり条文をどう読んでも、法的に停止を指示することは出来ない。行政指導で、中部電力に自主的な協力を求めるしかない」。異論を唱える者はいなかった。
6日午後7時10分から首相の緊急記者会見がセットされたが、中核メンバー以外の官邸スタッフには内容すら知らされていなかった。海江田氏が電話で中部電力に浜岡原発の全面停止を要請したのも、記者会見が始まるわずか1時間前だった。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00140.htm?from=top
原子力基本法にも原子力災害対策特別法にも、原発停止命令の規定がなかったことで政府は、困難な判断を強いられたことは分かりますが、「浜岡原発の全ての発電基について停止してほしい」とした目的合理性がどこにあったのかは、明らかにされていません。政府中枢の人々が何らかの目的を達成するための『行政行為』のようにも見えます。
一方、政府からのこの『任意の要請』に従うという自主的な経営判断をした中部電力の役員の方々は、今後、組織運営上の損害を生じたときには、株主代表訴訟によって法的責任を問われることを覚悟しているであろうと考えていましたところ、下記のニュースを目にしました。
住田弁護士が専門委員辞任 原子力安全委
(日本経済新聞2011/7/25 23:13)
原子力安全委員会は25日、原発の安全指針を見直す専門委員を務めていた弁護士の住田裕子氏が6月末で辞任したと発表した。住田氏は6月22日の専門部会で、中部電力浜岡原発が政治主導で停止した理由などの説明がないまま議論を進めることに対し、「お勉強会だ」(住田氏)と反発、辞表を提出していた。
中部電力のケースは、経営環境を構成する要因として国家権力(政府)からの圧力(リスク)があることを教えてくれます。日本国の風土(State Culture)として再認識する必要があります。
さあ、今日から8月の始まりです。
大きな笑顔で一層、氣を引き締めてまいりましょう。
油断は禁物です。
感謝
コメント