月に2度、1日と15日は神棚へ榊(さかき)を新しく取り替え捧げています。今月の15日(大安)にはいつものようにご近所の花屋さんで、榊を購入しました。しかしながら、大多数の葉の色が黄緑をしていたので不安になりました。お供えしてから枯れ始めるのではないか? でも、花屋のお姉さんは何も言わずにいつものように手渡してくれたのだから大丈夫!などと思いながら、6日が過ぎました。その大多数の葉はシッカリ、緑色に姿を変えました。めでたし、めでたし。何と偉大な生命力なのでしょう。

サカキの語源は、神と人との境であることから「境木(さかき)」の意だそうです。常緑樹で、さかえる(繁)ことから「繁木(さかき)」とする説もあるようです。

学名はCleyera japonica。榊をヨーロッパに紹介したアンドレアス・クレイエルに由来します。彼は植物学者で長崎出島オランダカピタン(商館長)51代(1682‐83)と54代(1685‐86)を務めました。関東以北ではヒサカキ (Eurya japonica)を榊として代用しているのを目にします。
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生命力に満ちた森のシンボルとして榊を部屋に置いてみましょう。
神棚がなくても良いではないですか。
バックボーンがスッとし、元氣が出てきます。

ひさかたの 天(あめ)の原より 生(あ)れ来(き)たる 神の命(みこと) 奥山の 賢木(さかき)の枝に 白香(しらか)つけ 木綿(ゆふ)とり付けて 斎瓮(いはひべ)を 斎(いは)ひほりすゑ 竹玉(たかだま)を 繁(しじ)に貫(ぬ)き垂(た)れ 鹿猪(しし)じもの 膝(ひざ)折り伏し 手弱女(たわやめ)の おすひ取り懸(か)け かくだにも われは祈(こ)ひなむ 君に逢(あ)はぬかも

万葉集巻三(三七九)のこの歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が、天平5年の11月に大伴氏の氏神を祭った際に作った長歌。祭神歌ではなく恋歌なのですが氏神を祭る日に作り神に祈ったとのことで神祭る歌とされたようです。意味は「遠き天より生まれ来た神々よ。奥山の榊の枝に白髪をつけ、木綿を取り付けて神聖なかめを土を掘って据え、竹玉をたくさん貫き垂らして、鹿や猪のように膝を折り伏して、女は打掛を掛けて、私はこんなにも祈ります。愛しいあの人に逢いたい」ということのようです。

奈良時代の最盛期である天平時代(729〜749年)には、「賢木の枝に 白香つけ(榊の枝に白髪をつけ)」というのように、様々なものに白髪をつけて神を祭る風習があったのかもしれません。そのように手厚く神を祭って、祈願したのでしょうか。
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