「藤原さんからのコメント・メール」と題されたフリーランス・ジャーナリストーの藤原肇博士(1938年生)と会計士の山根治氏(1942年生)の対話記事を通じて、私たち読者は intelligence のエッセンスを知ることができます。 山根治ブログ2024年10月15日号(https://yamaneosamu.blog.jp/archives/25850551.html)ら転載させていただきます。「人生は短く、人為は長く、機会は逃げやすく、実験は危険を伴い、論証はむずかしい。医師は正しと思うことをなすだけでなく、患者や看護人や外的状況に助けられることが必要である」“Life is short, and Art [of medicine] long; the crisis fleeting; experience perilous, and decision difficult. The physician must not only be prepared to do what is right himself, but also to make the patient, the attendants and the externals cooperate.” と例えられるアフォリズムがお二人の交流から伝わります。
コメント・メール(100)です
山根治さま
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前回は偽造や極秘文書を扱い、その件について論じたので、今回もその方面に関連して、30年くらい前に体験した謎や極秘情報にまつわる、思い出話に触れてみよう。冷戦構造が幕を下ろしてソ連が解体しロシアになり、米国の世界戦略が変化し主軸が軍事から経済に大転換して、戦略が大変化した影響により、米国の主敵が日本になった。
米国は戦略を大転換して経済大国日本の攻略に、経済面での制覇を狙ったので、アメリカ版の「千人計画」と呼ぶ巧妙な浸透計画を用意し、日本を攻略する作戦を展開した。包括的インテリジェンス(Comprehensive Intelligence)と名付けた、新しい経営方式を活用して、米国に本拠地を持つ組織は日本に支部を作るために、1991年秋の東京で創立会議を開催した。
主催は米国商業会議所で後援は駐日米国大使館だし、日本側の準備委員長が『CIA流戦略情報読本』を翻訳した、商社の部長で私の読者だったから、およその狙いは見当がついた。だが、インテリジェンスを論じる上で、日本側のパネリストとして誰が適当かの人選に、アドバイスが欲しいと相談を受けたが、世界レベルで通用する人は当時の日本には見当たらなかった。
情報を論じる学者はいてもインテリジェンスとは程遠く、日本の公安レベルの情報感覚では、とても釣り合わなくて、テ―マがComprehensive Intelligenceと聞き、皆が腰が引けて辞退していた。最後の頼みの綱だった『情報化社会』などの著者で、東京情報大学の林雄二郎学長は都合がつかず、開催する日本側に適任者が欠け、パネリストの人選に困っており、助けて欲しいとの連絡が届いた。
開催ギリギリの段階で用意する時間もなかったが、ちょうどその時期の私は『インテリジェンス戦争の時代』を纏め、間もなく出版の予定だったから、急いで東京を訪れることに決めた。しかも、私は国際石油企業で働き、資源衛星の写真を使って世界各地の地質を分析する任務で、インテリジェンス活動をするそんな仕事を担当しており、プロとしての訓練も受けていた。
会社は私の訓練のために、エロス・データセンターで、衛星写真の解析修行や、技術習得のWprkshopに派遣してプロとして育てたから、その方面での情報分析では、私には誇れる実績の蓄積があった。だから、急な講演依頼の電話だったが、興味深いプロの集団相手だから、講演する人のリストを聞くと、ルンド大学の情報工学部長やロッキードの副社長を始め、各国の情報機関の幹部などで、この際知り合っておこうと思い、おっとり刀で飛行機に飛び乗った。
ルンド大 ウプサラ大
スウェーデンのルンド大はウプサラ大学と並んで、歴史を誇る総合大学であり、黒海を挟みソ連に向き合い対ソ諜報の拠点の役割を演じ、情報工学部の存在はインテリジェンス教育で有名だった。また、米国の商業会議所と米国大使館が、情報工作のため組織したので、手伝っていたアメリカ人に在日のCIA関係者が目立ち、彼らが民間のカバーであっても、私は直ぐに正体が分った。
しかも、日本の技術者は生真面目で何万円もする参加費を払い、千人近くの人が参加していたし、気軽に個人情報を提供し蜜ツボに引き寄せられる姿は、外資への転職ブームの時にしても寂しかった。私は情報の意味論を喋りながら、同時通訳で自分の講演を聞いた時に、SemanticsをSyntaxと訳したので、大いに呆れてしまったが、日本では意味論が全く軽視されていて、これが致命的だと痛感した。
ANAホテルでの会議について、私は記事を書かなかったが、どこかで触れていたと思って、出席者の名前と肩書を探し、どこに書いたかを見つけるために、数年ぶりに『日本に巣食う疫病神の正体』を読み直した。すると、「まえがき」に安倍のゾンビ政治が、彼を「国賊」と呼ぶ上で如何に値するかを論じており、それが正鵠であることを発見し大いに感激したから、その問題を改めて検討したい。
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石破内閣の誕生で村上誠一郎が総務相に就任し、安倍を国葬にした時に、彼が国賊と指摘した時の話がメディアで蒸し返され、まるで村上議員の指摘が不適切だったと叩かれている。だが、狂っていたのは安倍晋三であり、彼は首相としての責任を弁えずに、長期政権を維持するために反日邪教の広告塔を演じ、国益を損なう売国行為に終始していた。
<・・・安倍内閣の経済政策は、日銀総裁の黒田東彦をはじめ麻生太郎財務相や竹中平蔵などゴロツキに似た顔ぶれで、国民の幸せな生活を実現することなく、まったくの役立たずであった。だから、アベノミクスと名付け欺瞞に満ちた空念仏を唱え、国民を騙し続けただけであり、こんな狼藉が支配した後は、大掃除するだけでも無駄なエネルギーの浪費になった。
愚劣な安倍政権が残した荒廃した暴政の痕跡は、日本の至るところで目立ち、閉塞感に支配されたために、善良な国民は思考力を喪失して、洗脳されている状態にある。だから、議会が機能しない中ですべてを閣議で決定し、議事録も作らず噓と隠蔽に改竄を加え、民主政治と称する政治が実は暴政であると指摘しても、嘲笑される始末だった。
戦前回帰を推し進めて、大衆の感情に訴えるとメディア支配で情報操作し、株価の上昇で好況を装い愚民政策で洗脳すれば、管理体制が持つ脅威に不感症になって盲従する。それが安倍体制によるゾンビ政体の時代だが、個人が自らの頭で考えず自分自身であるのをやめ、集団行動に依存するならば、それは現代における畜群である。
日本人を畜群化したのがアベノミクスの魔力で、その張本人が消えた以上はその汚れを清掃して、次に消毒をすることで病源を完全に根絶することだ。それはオカルトにはまった狂信的な人間を洗脳から救うのに似て、簡単なことではないが、徹底してそれをしないとゾンビが再び蘇生し襲って来る。・・・>
「まえがき」に書いたのがこの文章だが、これは何歩も離れた岡に立ち、「岡目八目」の足場を手に入れ一段と高い視座から遠望し、流れの行き着く先を読み、大局観でものごとを理解する「離見の見」を得ることである。目を見るためには目の外に出て、目を含む顔や身体を観察し、人間がそこにいる環境全体の中で位置づけることであり、それはものごとの抽象化でもある。
経済学を社会科学の中に位置づけ、それが「経世済民」だと知れば、良い暮らしと幸せな人生がその眼目だと分かるし、「成長一辺倒」という経済思想がいかにおかしいかを理解できる。そして、ゾンビ政体という異常な環境の中で、閉塞感に慣れ親しんでしまい、自分の頭で考えるのを止めて、愚民工作に洗脳されてしまえば、売国奴が国賊に見えなくなってしまう。
それが三十年以上も続いたゾンビ政治の成果であり、小泉から安倍に続いた時代が日本人に及ぼした病理現象だが、上に立つ者がサイコパスなら、それに導かれた時代は狂ってしまう。しかも、政権与党の自民党議員の半分以上が、反日邪教に強く影響されていて、地上に神の国を作ると称し、国民の幸福を忘れ去り平然と売国行為に明け暮れている。
それは半世紀以上も続く安倍家三代にわたる疾患で、岸信介から安倍晋太郎を経て安倍晋三に至る業病だが、途中に養子に出た岸に取っては、本家筋に当たる佐藤栄作が核武装の亡者として控えている。しかも、岸信介や佐藤栄作の兄弟や岸の孫である安倍晋三は、自民党の総裁を歴任し日本の首相になっており、朝鮮の対岸の山口を根城にして、韓国の利権に結びついて来た。
そして、Warmongerの家系として兵器や核武装を商売道具に使い、軍国主義と深く結びつくことで、稼業として政治利権を築き上げ、日本の社会を崩壊させてしまった。しかも、佐藤栄作に至っては虚偽でノーベル平和賞を入手し、偽れる盛装に輝いていたが、半世紀後にその化けの皮が剝がれ、ニセ者と本物が入れ替わって核兵器なき世界の実現の努力が実り、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した。
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新聞記事は次の通り報道したが、実に嬉しい知らせであり、日本人が諸手を挙げて喜び、世界に向けて胸を張って、その歓喜を伝えたい実に素晴らしい吉報である。
https://mainichi.jp/articles/20241011/k00/00m/040/226000c
被爆者の熱心な活動が評価され、ノーベル平和賞を受賞して感動に満ちた瞬間を味わったが、卑劣な日本政府の裏切りは、核兵器禁止条約が国連でせっかく成立したのに、その調印に参加しないでいる。しかも、選挙地盤である広島で岸田はG-7の会議を開き、各国の首脳が参加したのに、原爆記念館の展示場に首脳を招く努力はせず、被爆国の首相として核禁止のアッピールさえしなかった。
https://www.youtube.com/watch?v=dwkiWRTEdUM
また、被団協の受賞の朗報を佐藤章記者は、彼のU-Tube番組を使い感動的なリポートをし、彼の無言の嗚咽に多くの視聴者が感動したが、それはコメントの記事を読めば、共感がひしひし伝わって来る。
https://www.youtube.com/watch?v=c7IYG7tG6Ak&t=721s
そこで秘話を一つ紹介して長年埋もれた話を公開すれば、コメント・メール(88)に登場した早川聖さんはカナダで隠棲した外交官だが、ある日の晩餐の雑談の時に、終戦工作の話題でこんなことを喋った。
<・・・終戦工作の時の話だが、外務省に加瀬俊一は二人いて、一人はミズリー号で降伏文書に調印し、その後に駐米大使になり佐藤や中曽根の顧問だった、戦時中は親ナチ派に属した加瀬俊一です。もう一人は終戦時にスイス公使で、ポツダム宣言に関係し、戦後は駐独大使をやった親英派の加瀬俊一であり、二人は私の先輩でした。・・・>
親ナチ派の加瀬俊一には、息子の加瀬英明がいて、英語が得意だから「ブリタニカ百科事典」の編集長をやり、その関係でCIAと関係し、統一教会や日本会議に近かった。そんな人脈の関係もあり、佐藤の顧問だった加瀬俊一は、ノーベル賞を貰うために、佐藤栄作に関し嘘八百のレポートをでっちあげ、平和賞の受賞工作を手伝い、世界を相手にして嘘で騙したのだという。
政治の世界は騙し合いで暗号解読はその極致だが、インテリジェンスの面ではエリザベス一世時代からの伝統で、英国が最も優れており、ドイツが手本の日本だから、勝ち目がないと彼は嘆息した。この話が切っかけになり、インテリジェンスの価値に目覚めた私は、ヨーロッパの歴史を学び直し問題意識を磨いたお陰で、情報理論の世界に近づき何冊かの著書を纏めた。
そうしているうちに、秘密の謎解きに親しみ、中核には秘密結社があり、そこに迫るための知識としては、意識を司る脳の働きを知ることが大切だと分かったので、精神科医の藤井博士に弟子入りした。そして、十年ほど対談を続け、その間に脳医学と共に精神病理についての知見を増やし、『間脳幻想』を仕上げたら社会病理の診断ができ、ゾンビ政治の正体までが手に取るように見えて来た。
そうなると面白いもので、それまでは謎に包まれ分からないままだった、世界の構造が見えるようになり、その記録を纏めていたら幾冊かの著書が誕生し、独自の仮説を作ることまでが出来た。Deconstractiunに従い既存の枠組みや体系を解体し、新たに構築する作業にはカリフォルニアは最適で、地の利を生かし得たから、人生の後半は実に面白くなった。
多様性に富む点において魅力に満ちた場所を拠点に、世界中を飛び歩くことで、セレンディピティに満ちた第二の人生を謳歌でき、エネルギースポットを訪れ、地球が秘めている神秘を探り当てた。その具体例に相当したのが、『宇宙巡礼』や『生命知の殿堂』で、読むだけで興奮するし、神秘の世界の面白さに陶酔させられてしまい、生きている喜びを満喫できた。
そこには出会いにおける悲喜こもごもがあって、儚くも侘しい人生模様が走馬灯のように巡り、賑わう市場経済でさえ「槿花一朝の栄」を示し、栄華必衰の理だと教えてくれる。その一例が同時多発テロで、NYの世界貿易ビルが崩壊した事件に触れた後に、それを語り合ったためか、対談相手の大本さんは、奇妙な形で人生の終わりを迎えている。
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大本さんは日系アメリカ人で、ロスのガーデナ市で会計事務所を経営しており、早稲田大の理工学部時代は原理研究会の幹部として、かなり派手に活躍していたという。だが、米国に戻り大学院でBAをやり、米国政府の秘密計画を調べ、空飛ぶ円盤やエリア51などに関与し陰謀論の世界を知ったら、カルト的な世界がバカに見え、統一教会とは縁を切ったのだそうだ。
電子工学をやった時代は宇宙原理に興味を持ち、原理研究会に参加して聖書を読み、ユダヤの歴史を学び秘密結社について調べたが、勝共連合のペテンが分り米国に戻り絶縁したそうだ。だが、彼は秘密を探るのが好きで、陰謀の発掘が趣味だから探偵趣味を楽しんでおり、カリフォルニアには奇人が多く、そうした人脈を開拓していて、私に色んな人を紹介してくれた。
そんな中に日系の二世で戦前に諜報関係で働き、『スパイ野坂参造追跡』を書いたジェームス小田老人がおり、彼の新年会に連れて行って、興味深い話を聞く機会を提供してくれた。また、大本さんの仲間や後輩にオウム真理教の幹部がいて、カルトに理工系の青年が多いのは真理追求に釣られるからだし、統一教会を理解するには、太平天国の乱を学ぶことだと教えてくれた。
このオタク族に属す人は珍しい体験を持っており、雑談すると学ぶことが多く、ロスに行き良く対話したが、NYの同時多発事件(9・11)の後で、次のような議論をしている。これは陰謀論に属しているが、こうした話ができる相手は余り多くないと思うし、内容的にも興味深いものが多いので、以下に二回に分けて掲載して、その内容を参考に供したい。
http://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/article/omoto01.htm
続きの話も興味深くて、彼の知識には関心するが、こうした人がメンバーなら、お題目を有難がっている創価学会よりは手ごわく、カルト教団でも決して油断はできない。もっとも、これだけの知識を持つので、統一教会のペテン振りに愛想をつかしたのだと思うが、彼のレベルは『ムー』を超え、神秘学探究者の水準だから、その知的な好奇心には感心してしまう。
http://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/article/omoto02.htm
しかも、彼は結婚して妻がいたが、いつも食事をする時には愛人のアリゾナを連れてくるし、彼女は奇妙な体験の持ち主で、ボヘミアン・グローブの森で、奇天烈な役を演じた不思議な女だった。だから、彼女を東京に連れて来てUFO研究の集会に参加し、竹本良の仲間たちの前で講演をしたりして、得体の知れない存在だったが、ロスにはこうした人が数多くいる。
こんな経歴を持つせいか、今から七年ほど前だがロスの知人から電話があり、大本さんが死んだと言われ、それも不審な死に方であり、Desert Hot Springsのホテルで死体として発見されていた。それも、ホテルの温泉プールに早朝に浮かんでいたのであり、他殺か自殺かも不明だし、なぜそこにいたかも分からず、迷宮入りのままであるという。
また、Deep Stateという言葉は彼から教わったものだし、こんな形の不審死だと薄気味悪くて仕方ないが、これも人生の巡り合わせであり、世の中には不思議なことが多い。安倍晋三の射殺事件は売国行為への天誅で、そう思わない日本人も多くいて、安倍を英雄視するのは異常だとする私に、国賊視は異端だと非難する人に対して、私はパトリオットとして反論したい。
パトリアとは祖国を意味し、碩学の将基面貴巳博士は『愛国の教科書』の中で、愛国心や愛国者を論じその意味論を整理して、次のような形で論じている。
<・・・キケロによると「祖国」には二種類あります。一つは「自然の祖国」です。これは簡単に言えば、生まれ故郷のことです。自分の両親への愛情や生まれ育った場所への愛情と密接な関係があり、実際に御馴染みのある比較的狭い土地や地域を指します。もうひとつは「市民的な祖国」、つまり、自分が市民権を有する国を意味します。これは法的な共同体で抽象的な存在です。「自然的な祖国」が土地、自然環境、そこに住む人々を具体的に指すのとは対照的です。キケロの場合、共和政ローマが彼にとって「市民的な祖国」でした。・・・>
こうした歴史的考察に基づき、オタゴ大学の将基面教授は、<キケロにとっての「祖国」とは、故郷の美しい山河や郷里の人々ではなく、共和主義とは市民の自治を通じて、市民にとっての共通善(特に自由や平等、そして、そうした価値の実現を保証する政治制度)を守ることを重視する思想です。
このような伝統から、ヨーロッパの国々では、愛国心とは共和政的な政治的な価値や、制度を防衛することにこだわる思想、政治的思想だと理解されてきました。逆に言うと、愛国心が敵と見なすのは、市民にとっての共通善を脅かす暴政です。暴政とは、ヨーロッパ政治思想史の伝統では、暴力をむやみやたらに行使する暴虐非道な政治を意味しません。暴政とは、一部の人々が私益を目的として権力を乱用し、共通善を脅かすことで腐敗する事態を意味します。・・・>と論じている。
これは小泉や安倍一族のように、国会議員を稼業として世襲し、利権化して暴政を奮い続けてそれを自由民主と名乗り、腐敗した支配体制を維持する、特権家族のための体制への否定であり、断固とした破産宣告でもある。こうした世界に通用しないゾンビ型の政治支配に任せ、そんな時代遅れの腐ったレジームの維持が、愛国だとする妄想から離脱することが重要だ。
将基面博士は『愛国の構造』で、<政治的美徳を持つ「祖国の市民」は、公私の領域を問わず、私益を優先する「腐敗」に反対し、「祖国」と同胞である市民たちに、献身する人々である。>と指摘する。だから、浅ましい洗脳から自らを解放して、真の自由を手にする努力がキモであり、暴政に明け暮れ国益を損ない売国行為に明け暮れた、売国者を国賊と認識することが必要である。
『財界 にっぽん』 2004.01月号
特別対談
アフガンとイラクを軍事攻略したアメリカの秘められた意図を探る(上)
――謀略史観の適用で見たアジアの脊梁山岳地帯の地政学
アーサー大本(アプライド・アカウンタンシー社長、在ロス)
藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト、在パーム・スプリングス)
コンピュータの駆使で何でもやれる時代
藤原 大本さんは長らくロスで会計事務所を経営して、その傍らに権力者が行う秘密計画についての調査を行い、謀略史観で世界を考えるエキスパートとして知られているが、あなたは確か早稲田大学の理工学部を卒業したエンジニアですね。どうして会計事務所の経営を始めたのですか。
大本 私が出た学部が一応は工業経営学科だが、日本の大学は授業料さえ納めれば幾らでも単位が取れたので、工学部の学生として色んな実験をやっただけでなく、哲学とか経済学や会社設立法まで勉強し、渡米して南カリフォルニア大学でMBAを終えて、コンピュータ会社を経営したわけです。コンピュー夕を自在に使えるようになったお陰で、情報を取ることは至って簡単になったし、会計や給料の自動支払いシステムを作ってからは、計理会社の経営が簡単に機能するようになりました。また、暇に任せて歴史が持つ謎の世界を調べたお陰で、裏の世界の情報に詳しい人たちと親しくなり、特殊な情報を扱いなれた人々とつきあっているうちに、秘密情報の取材が道楽になってしまったから、時どき講演したりするようになったわけです。
藤原 面白い入生を満喫しているようですが、謀略史観には胡散臭いものが多いので、眉唾だと疑い深い目で眺められることも多く、信用の点で危うい立場に立つことも多いでしょう。
大本 でも、根がエンジニアだから新しい技術だけでなく、科学の先端知識を基に古代技術の再発見を試みて、時代がどう動いていくかを知ることは、知的な好奇心を満足させるだけでなく、面白い人との出会いまでも作るのですよ。
藤原 そこで今日は疑問の多い911事件に関連して、それに続いてアメリカ政府が無理やりに強行した、アフガン戦争とイラク侵略戦争の背景に、一体なにがあったのかという点について、普通のメディアには出ていない議論をしたいと思います。私は科学者だから常に懐疑精神を働かせ、謀略史観には疑問を突きつけるので、あなたの自尊心を傷つけることを言うかも知れません。でも、ことによると火花の中から閃きが生まれるから、たとえ気に障ることを言っても腹を立てないで、ブレーンストーミングのつもりで相手をして下さい。
大本 藤原さんの批判精神が旺盛なことは有名で、他人が考えない凄い発想をする事を知っているから、ちょっとの批判ではたじろがないつもりです。それに、面白い発想をする人と付き合いながら、その情報がどの程度まで正しいかを調べていると、彼らの多くがCIAやNSA(国家安全保障局)などその筋に関係し、経歴的にも興味深いことが多いのです。中には超能力の訓練を受けたらしく、時計の針を逆回転させる裏技も見せるが、そういった人間を通じて情報リークが行われており、これが意図的な心理操作にもなっているのです。
藤原 情報操作としての公的な秘密のリークとは面白いな…。
タメにする情報と撹乱工作
大本 その内容の六割以上が事実に基づいていて、四割が嘘と撹乱の組み合わせで出来ているので、素人目にはいかにも本当らしく思える。問題は情報漏洩で誰がダメージを受けるかであり、その反対側には利益を得るグループがいるわけで、そこに注目すると構図が見えてきます。ある目的で謀略情報が流れるという点を把握しないと、心理操作の思う壷にはまってしまいます。
藤原 そうなると裏の裏を読まなくてはいけない。その点で日本人は世界的に見て甘い情報感覚の持ち主であり、タメにする撹乱情報に振り回されているし、メディアが情報の裏取りする能力が乏しいから、嘘を本当らしく書いて稼ぐ連中がメディアで人気を集め、CIA情報だと言いふらして得意になっています。
大本 そうですね。たとえば昔NSAにいたとかCIAの高官だったと名乗り、現在はフリーな立場を装う人がいるが、そのほとんどは怪しいと考えるべきです。秘密機関でかつて幹部を歴任したような入が、辞めても関係が無くなるわけではなく、高官ならば一生そこの人間であるから、辞めたので総てを喋れるというわけではありません。政府の秘密組織を辞めるのは口実で、情報収集や分析の部門を離れたにしても、今度は大衆操作の任務に移っただけです。
藤原 辞めても在任中に得た秘密は漏らせないし、漏らせば犯罪だという一札を書いているはずで、国家機密漏洩罪には厳しい処罰があり、情報に関してフリーハンドのはずがありません。
ところで、911事件の真相は疑惑に包まれたままであり、曖昧な政府発表が一人歩きしているが、果たしてアラブのテロリストの行為かどうかも、分かっていないというのが実情です。事件の直後からどうも不可解だと言われて来たのに、アメリカが国を上げてマスヒステリアに支配され、メディアがそれに圧倒されてしまったので、誰も真相を追及しない状態が続き、変だと言うと謀略史観だと切り捨てられて来た。どうも納得できない点があり過ぎたことは、911事件の三日後にわれわれがロスに集まって、あの事件に関して座談会を試みた時に、ハイジャックがパーフェクトだっただけでなく、WTCビルとペンタゴンに突入した飛行機の操縦が、とても素人の手腕ではないということで、どうも奇妙であるという結論になりましたね。
大本 ビルに飛行機が突っ込んだ映像の印象が、何とも不自然で奇妙だっただけでなく、ビルの崩壊がスムーズ過ぎたために、インプロージョン(体系爆破)ではないかというプロの見解もあり、解釈は実に混乱を極めていました。
藤原 あの会の出席者全員が「同時多発テロ」と喋ったし、日本のメディアはこの言葉一色だっただけでなく、私はその後この言葉を使いまくったので、言葉づかいの面で情報操作に巻き込まれ、日本人全体が洗脳された感じでした。
大本 ロスの日本人は日本の新聞とテレビを見ているから、日本と同じ情報を同時に受け取って影響されるので、NHKの衛星放送が同時多発テロだと喋れば、日本村に住む日本人は全員が信じてしまうのです。
藤原 確かに事件は同時多発の形で起こったが、アメリカ政府の発表どおりテロリストによる攻撃によって、あの事件が起きたという確証はありません。
911事件が示す解明出来ない疑惑
大本 テロリストが遠距離便をハイジャックしたというが、凶器がカッターナイフだと発表されただけで、四機が同じ凶器で脅かされたにしても、全部が成功する確率は非常に低いはずだし、容疑者の証拠は何ら示されていません。しかも、テロだという結論が先走りしただけであり、ブラックボックスは全く公開されておらず、乗客が使った携帯電話の通話記録もないし、ペンタゴンに突入した飛行機は残骸さえ無いので、ミサイルらしいという情報も流れました。
藤原 そういう情報がその後に続ぞくと現れて、アメリカの自作自演だろうという説まであったが、謀略説だと決め付けて葬られています。
大本 WTCビルの南棟と北棟の崩壊が秩序だっていたし、周辺のビルまで崩壊したというのも不思議で、ユダヤ人の犠牲者もほとんどいません。もっと奇妙だったのは炭疽菌事件であり、混乱の中で炭疽菌をばら撒くことで、テロの危機感を盛り上げるつもりだったのに、あの炭疽菌が米軍の保有物だということが、調査報道で明らかになってしまったでしょう。実にお粗末な話でした。
藤原 メリーランド州の細菌戦研究施設のものが、使われたらしいと報道されたために、炭疽菌を使う作戦は打ち止めになった。本当はフセインが持つ生物兵器の脅威を盛り上げ、イラクを叩く口実にする気だったのです。
大本 今回のイラク戦争は表向きの口実としては大量破壊兵器による攻撃を予防するとか、テロヘの報復をするためとか色いろあり、動機としてイラクの石油を支配する米国の野望や、軍産複合体の利益のためなどがあるし、親イスラエル派のネオコンの暗躍も目立ちました。
藤原 ブッシュ政権の幹部の多くはネオコンだし、圧倒的にユダヤ系のアメリカ人が多い上に、911事件後に出来た国土保安省は、英語でホームランド・セキュリティー省(DHS)と呼ぶことになった。この言葉はイスラエル建国の口実になった、バルフォア外相がロスチャイルド男爵宛の手紙に、祖国と言う意味で使われていまして、どうも、シオニスト好みの語感を秘めた用語です。
大本 それも奇妙な一致だが誰も問題にしていませんね。また、先ほど藤原さんが911事件は自作自演と言ったが、それを裏付ける証拠が続ぞく見つかっています。その一つで重要だと思えるものに、WTCビルにアメリカン航空の飛行機が激突する場面が、事件の六ヶ月前に民間テレビで放映され、激突を寸前で回避した場面が出た直後に、この連続番組は打ち切りで放映中止でした。ということは、ツインビルに旅客機が激突すると言う話は、事件の前から極秘に練られていた可能性があり、それを感知していた人もいたらしいのです。
藤原 そんな話は初耳だが民間テレビと言うのは、ABCとかNBCあるいはケーブル・テレビなのですか。
大本 沢山の人が見たというのでどこの局か調べているが、その映画のビデオの入手を手配していますから、そのうち詳細が分かるだろうと思います。
藤原 どうして一般のメディアがその問題に注目して、大いに騒がないのか実に不思議だと言う気がします。
高度な操作技術や遠隔操縦システムを使った可能性
大本 アメリカのメディアはユダヤ系が支配しているので、そういう極秘のタブーが関係していることについては、報道しないのが当たり前だというべきです。問題はGPS(汎地球測位体系)を使った遠隔操作装置なら、パイロット操縦と違い正確に目標に向かうので、あれだけ見事な衝突も実現し得るわけです。
藤原 知人のパイロットの話だと高度な技術が必要であり、秒速ーキロで飛ぶ飛行機をビルに衝突させるのは、飛行機学校で訓練した生徒には難しくて、空軍のトップの熟練パイロットでなければ、とても出来ないことだと言っていました。そんな空軍パイロットがいるのは米英かイスラエルでしょう。
大本 その他にロシアの空軍パイロットも優秀だが、むしろ遠隔操縦装置を使ったと考えるなら、飛行機のどこに装置をつけるかが問題で、GPSのための地図を作りソフトに組み込めば誘導ミサイルと同じで目標に命中します。
藤原 そう言えば興味深い情報がありまして、WTCビルの中にあったある証券投資会社は、財務省の証券全体の七割を扱っていたが、911事件で会社自体が雲散霧消してしまったのに、この問題を誰も取り上げようとしません。アメリカ政府の借金の借用証書を扱う会社がなくなれば、誰が一番得をするかということは重要な鍵であり、これは探偵小説の犯人探しのイロハですよ。
大本 借用証書やデータベースが消えたにしても、どこかにバックアップの記録があるはずだから、それは藤原さんが推理小説の読み過ぎです。むしろ、首都ワシントンを守る防空システムが機能せず、ペンタゴンに飛行機が曲芸的に突っ込んだのに、飛行機の残骸さえもが無いに等しく、どうもミサイルを使ったらしいという噂まで流れたが、その後この点を誰も取り上げていません。
藤原 ジャーナリズムが調査報道をして当然なのに、テロだという前提で犯人探しに熱中しているせいで、事件そのものが迷宮入りになりそうです。
大本 それにしても、このイラク戦争ほど大義名分に欠けたものは無いし、今回のブッシュの行動ほど説得力が不足したものは、過去に前例がないほどの酷さでした。
藤原 先ずはアフガンに攻め込んで基地を作り、続いてイラクの油田地帯の占領により石油を奪い、次にシリアを叩きイスラエルを喜ばせ、最後にイランを抑えてカスピ海とペルシャ湾を結べば、中東の資源権益の制圧が完成します。
大本 石油ビジネスのプロの藤原さんならば、そう考えるのは当然だと思いますが、私はブッシュたちがもっと世論工作に力を入れ、先ずアフガン攻撃で戦争の既成事実を作ってから、中東支配のハルマゲドン計画を実行し、起死回生の経済戦略を企てると予想しました。911事件でWTCビルの崩壊の衝撃は、真珠湾奇襲のイメージと結びつきます。だから、国民がパニックに陥るチャンスを生かして、数千人の犠牲者の報復のために、やられたらやり返すジョン・ウェーン方式を使い、悪人征伐のパターンを再現するわけです。これがブッシュが狙った自作自演劇の筋書きであり、そのためにテレビで何百回も繰り返して、強烈なショックを植付けるのに成功したのです。
藤原 でも、ブッシュにはそんな緻密な頭脳はないですよ。
大本 それはブッシュを背後で操る勢力であり、彼らは大統領選挙の時にフロリダにおいて、負けた選挙を逆転させる工作を実行し、一種のクーデタで大統領を入れ替えました。だから、ケネディ暗殺が20世紀の謎なら、フロリダの逆転選挙は世紀末の謎であり、911事件が21世紀の謎になるのです。これらは一連の迷宮入りになる事件であり、アメリカという国が真相の解明を拒む、絶対に開き得ないパンドラの箱ですよ。大体からしてビン・ラデン家はブッシュのパートナーだったし、オサマにWTCビルのテロをやる力はなく、やったという証拠はどこにもないのに、アメリカ軍はアフガンに戦争を仕掛けています。
精神世界の奥の院としてアフガニスタンの持つ価値
藤原 しかも、アフガンと911事件と直接結びつかないのに、タリバン(神学生)政権を粉砕して軍事占領することで、あそこを支配下に置いたわけです。
大本 アフガン戦争をやった表の理由としては、アルカイダ叩きの他にパイプラインと麻薬があるが、その奥にもっと大きな秘密があって、地政学的に重要であるその核心に相当するものに、思想の世界における役割があるのです。
藤原 精神世界や神秘思想の分野において、アフガンは昔から「山の長老」の支配圏であり、有名になったマザリシャリフの近いバルフの遺跡は、ジンギスカンに破壊される前は文化の中心だったし、イランとアフガンの国境に近いヘラートはスーフィーイズムの中心で、昔から修業の場所に近い仙都でした。
大本 ギリシャやローマの時代から中世に向かう過程で、キリスト教世界が封建制に入ったために、科学も思想も発展がない状態が続き、その時に発展を推進したのが中東地域でした。十字軍がアラブに攻めて行った理由も、この科学技術のノウハウを奪うためであり、それがゴシック建築や黄金分割の思想だったことは、藤原さんの「間脳幻想」に書いてある通りです。
藤原 あなたが仕事にしている会計学にしても、中東に旅して学んだフィボナッチやパッチョーリが、黄金分割や複式簿記として移入したものです。だから、地理学的には砂漠や岩山が君臨しているが、アナトリア高原からヒマラヤ山脈を経てチベットに至る、古地中海が地殻変動で大陸の屋根になった地域は、古代の叡智を伝える神秘文明のセンターです。
大本 その通りですね。
藤原 分かりやすく整理してしまうと、科学の裏側にあるのが宗教であり、この宗教を腑分けすると顕教と密教に区分でき、密教的なものがゾロアスター教やミトラ教として勢力を張り、その影響下に仏教やキリスト教が生まれ、顕教の形で世界宗教に発展したのだと思います。現在の中東はキリスト教の兄弟のイスラム教圏だが、イスラムの奥にはゾロアスター教やミトラ教が潜んでいます。また、神秘的な体質を持つイスラム教がシアー派で、それがスーフィー思想と複雑に絡み合って、イランからアフガンにかけて定着している。しかも、科学の中の化学はアルケミー(錬金術)として、あの辺の山岳地帯で冶金と関係しており、それが西欧の神秘思想の源流になっています。
大本 その考えはアフガン戦争の理解の上で重要です。今の指摘を逆に神秘思想の視点に置いて見れば、人間の深層心理に強い影響を及ぼした、20世紀の三大神秘思想家が関係して来る。それはゲーテに学び人智学を広めたシュタイナー、マンダラと深層心理を結合したユング、スーフィー神秘主義を発掘したグルージェフの三人で、皆がアフガンやチベットを注視しています。
藤原 密教的なものに注目しているのですよ。
大本 シュタイナーはゲーテの神秘主義に関心を持ち、マンダラはチベットが本場だと言われているし、グルージェフはダライラマの家庭教師をやり、チベットからカフカス山脈にかけての地域を旅しています。
藤原 その源流に神智学のプラバッキーがいるし、易経とスーフィー神秘学の源流はシュメール文明であり、メソポタミアは文明と知恵の故郷です。また、本当の知恵は切り売り出来ないから、老師について修業で学び取るものだし、そうした老師があの山岳地域にいて、隠れた本物のノウハウを保持しているのです。秘伝は一子相伝で伝えられるものだし、老師はグルより遥かにレベルが高い人で、カルディアの秘教を伝えるマギ(東方の博士)であり、山中から全世界を見つめている人ですよ。
大本 だから、アフガンを制圧して思想の源流を抑える目的で、スーフィーのサンミューン修道院やクワンジガン集団が潜む、山中の洞窟を徹底破壊するために、地下深部で爆発する特殊誘導弾まで使い、米軍はアフガン攻撃したと言う仮説が、現実味を帯びて納得できるようになります。なぜこの戦争がアフガンとイラクで始まって、これから大変なことになるかを知るには、文明の歴史を鑑にすることが必要になるのです。
(以下、次号に続く)
『財界 にっぽん』 2004.02月号
特別対談
アメリカのイラク占領と不吉な黙示録信奉の影(下)
――謀略史観の適用で見た原理主義の妄想と古代技術が秘める謎
アーサー大本(アプライド・アカウンタンシー社長、在ロス)
藤原肇(フリーランス・ジャーナリスト、在パーム・スプリングス)
在庫の弾薬の一掃と新兵器の実験
藤原 現在のアメリカは軍事力ではダントツなので、経済的には危機的な状況にあるというのに、アフガンに続いてイラクを徹底的に攻撃して、国際世論を無視してやりたい放題をしている。かつては反対勢力にソ連がいて牽制したが、ブレーキ役が体制崩壊で自滅したので、今のアメリカは一国覇権主義に酔い痴れています。しかも、それを正面から批判するだけの国が存在しないから、世界はブッシュのゴリ押しに踏みにじられて、全く情けない混迷状態に陥っているのです。
大本 貿易赤字と財政赤字が天文学的になり、米国の経済状態はどう見てもお先真っ暗だから、戦争しない限りは破綻するのを免れないので、アフガンに続いてイラクに戦争を仕掛けたのです。そして、ミサイルだけでも三千発もぶち込んだというから、普通の爆弾は数えきれないほど使ったに違いなく、バーゲンセールで在庫を一掃したのですよ。
藤原 戦争の一つの側面は新しい武器の実験にあり、現場で実際にテストしてみることが重要だというし、武器はともかく弾薬には有効期限があるから、使える間に使ってしまおうという打算もあって、中古の爆弾を目茶苦茶に落としたはずです。それに、今度の戦争には色んな新兵器も投入されていて、ある意味で電磁兵器の博覧会みたいであり、私が予想した超伝導や超流動の発想の実用化が進み、恐ろしいことだという実感を抱いています。
大本 アフガンとイラクでアメリカは在庫整理をしたので、軍産複合体はこれから大いに忙しくなり、十年はじっくりと生き延びることになります。大体アメリカは第二次大戦が終ってからは、十年くらいの間隔で戦争をして来た歴史があり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中南米の政治に介入した幾つかの戦争、湾岸戦争、ユーゴの紛争とコソボの戦争、そしてアフガンとイラクの戦争と言う具合に、毎回の戦争で在庫整理をやったわけです。
藤原 そうですね。これまでは在庫整理を適当にやってきました。だが、今回のアフガンとイラクは戦場の性質が異なるので、旧式の兵器や爆弾だけでは間に合わなくて、特にミサイルは人工衛星の電子機能を最大限に生かし情報革命を生かす戦術を駆使しています。
大本 人工衛星に関してはアメリカ人の独壇場だから、GPS(汎地球測位システム)を使ったミサイルだけでなく、兵隊も赤外線ゴーグルやGPSを装備している。しかも、人工衛星の威力を最大限に生かすような形で、サイボーグに似たスタイルで戦闘するのを見て、SF(空想科学)の世界が現実化したという感じでした。
藤原 多くの人が携帯電話を当たり前に使っているが、これは電磁兵器の応用技術に過ぎないのだし、それを使って情報収集しているのがエシュロンで、戦争と平和が裏表で繋がっているのに気がつく人が少ない。GPSの誘導装置を搭載したジェイダム誘導爆弾は、米国が誇る最新最強の精密誘導爆弾だが、イラク戦争でこの爆弾の命中率が低かったと言われている。その理由はロシア製の簡易撹乱装置のせいで、GPSが簡単に狂うのだと言う記事を読んだことがあるが、衛星電話のような微弱な電波が威力を持つので、同様な弱い電波でも妨害や撹乱に使えるわけです。
大本 低周波を使った電磁兵器は湾岸戦争で使われ、衝撃波発生爆弾が威力を発揮しているだけでなく、アルファ波に近い波長の音波を利用することで、共和国親衛隊の脳を錯乱させたことは公知の事実です。ピアノの真ん中のラの音が440ヘルツであり、次のラの音が220、そして110、55、27.5、13.8、7ヘルツと半減するが、アルファ波の7.5ヘルツに接近する段階で周波数を調整すれば、脳機能を混乱させる兵器になるのです。
藤原 それは倍音を使った波動効果の応用ですよ。脳の機能に変化を起こすメカニズムとして、太古の昔から宗教が利用してきた特殊ノウハウは、オラトリオとかマントラ(真言)として現在に伝わっているし、それが呪いや言霊として働いたりもする。また、逆の方向で周波数が増えて2万ヘルツを超えた音域は、神道で使う石笛の響きとして威力を発揮します。
古代文献を略奪した可能性
大本 そう言いますね。波長の問題は低周波になるほど精神と関係するし、高周波は物質を貫く威力を持つので、武器とか工業技術に強く結びつくのです。
藤原 そうでしょう。だから、クルスク潜水艦の沈没やWTCビルの崩落に、電磁波兵器が使われた可能性を私は予想するし、超伝導や超流動のことに注目しているのです。そして、原爆を作ったマンハッタン計画について考えると、それがラスアラモス研究所と組んで動いた、シカゴ大学のフェルミ研究所が深く関与するから、小柴教授のノーベル賞受賞がカミオカンデのせいではなく、シカゴ時代の電磁波研究のお陰だと論じたのです。
大本 山田さんとそれを論じた対談記事は読みました。また、シカゴ大学が核分裂の研究で論じた大きな役割を演じており、原爆を作る上で重要だったということは、従来から言われていた公式論なので良く分かります。だが、今言われた原爆を作るためのマンハッタン計画は、1942年の末から45年までの極めて短期間に、計画から完成に漕ぎ付けたというのは話として出来すぎです。1942年にはテレビもないし飛行機もプロペラ機で、コンピュータも未だ実用化していなかったのだから、技術水準もそれほど高くはなかったはずです。そんな時代に僅か3年で原爆を作ったと言う話は、幾ら米国の人材と資金を総動員したにしても、何となく作り物らしいとの印象が私には強いのです。原爆を作る上でのアイディアをどこかで見つけて、アメリカはそれをロスアラモスとシカゴ大に結び付けることで、一種の神話に仕立て上げたのだという感じです。
藤原 しかし、フェルミ教授のような卓越した頭脳が一人いれば、1000人の凡庸な物理学者が集まっても出来ないようなものが、実現するということがあるかも知れませんよ。
大本 もちろんそうも考えられます。だが、核分裂の秘密のアイディアをどこかから持ってきて、それが古代文明と関係して中東やチベットだとしたら、水平思考として突飛なだけに面白いですよ。「色即是空」の概念はアジアでは古くから知られており、これは総てがエネルギーだと言う思想だし、真空から物質が生まれると言う考え方として、現在の宇宙観の基本と結びつく凄い考え方です。こういう科学の大飛躍のヒントになる発想が、東などの古代文明が栄えた地域に埋もれていて、それを手に入れたことが原爆完成に結びついたなら、古代文明の遺産が秘めた叡智は絶大なものです。
藤原 古代の巨石文明は未知の技術を使っていて、現在の技術力では不可能なことを実現しており、ピラミッドやインカの建造物ひとつを取っても、どうやって建造したか見当がつきません。だから、古代文明が秘める威力には敬意を表すが、それと原爆製造のノウハウや技術を結びつけて考えるのは、余りにも飛躍があり過ぎて荒唐無稽だな…。
大本 科学者の藤原さんなら当然の拒絶反応だが、今回のイラク戦争に関しては例外があり得るのです。フセインが隠している二つの秘密を考えると、ソフトは歴史的な真理だから古代文献の形で、ハードはオーパーツ(場違いな遺物)のような物があり、そこに米国は狙いをつけたのではないかと思う。だから、私は米国がイラクを占領するに当たって、イラクの持つ古代文献を奪うだろうと思ったし、博物館だけではなく未だ発掘していない遺跡に、イラクが何かを隠していると言う口実を使い、それを暴くに違いないと予想したのです。
藤原 そういえば、イラク軍は遺跡の周辺に基地を設けていて、それをアメリカ軍が意識的に狙って攻撃したので、人類の遺跡を破壊したという非難がありましたね。
大本 そうですよ。米国は未発掘の遺跡を占領して集中的に調べたり、発掘されて博物館の地下にある遺物の中から、古代技術で作られたオーパーツを探し出して、それで新兵器のノウハウを掴もうとしたと言われています。四月十五日付の毎日新聞の記事によると、バクダット占領と同時に起きた大規模な略奪では、本物と模造品を見分けて奪い去っている点で、考古学の専門家が参加していたようだから、ことによるとCIAが専門家を密かに送り込み、狙いをつけたものを根こそぎ持ち出したかも知れません。
藤原 ということは、国立博物館における略奪にアメリカが関与し、何か特別なオーパー:ツを見つけようとしていたということで、それがイラク戦争の動機だと考えるのですか。
大本 それが第一目標ではなくても狙っていたはずです。特に図書館にあった貴重な蔵書や古文献が根こそぎ奪われたが、これは大衆が欲しがるようなものではなく、専門家にしか価値がない特殊なものだと言えますよ。しかも、米軍が博物館に押し入れば大問題になるから、暴徒が略奪して米国は傍観していた形にすれば、まさか背後にはアメリカがいるとは誰も考えないはずです。また、爆撃の被害を避けて重要文献は地下の金庫に保管したのに、それまでも金庫をこじ開けて略奪したのは、コマンド部隊の手口だと考えてもいいと思う。
藤原 しかし、学問の世界では文献は公開が原則だから、そこまで危険を冒して米軍が盗むようなことをするとは、ちょっと考えられないという感じですが…。
大本 軍隊ではなくてCIAなどの情報機関だとしたら、それくらいのことは幾らでもやりかねないのは、歴史の中を見れば幾らでも例がありますよ。
藤原 それはジェームス・ボンド的なスパイ合戦の世界だから、英国のM16なら試みてもおかしくない作戦だと思うが、アメリカのCIAにはそんな頭脳はないでしょう。
イラク版の[死海文書]の封印を狙ったのか
大本 権力を動かすシステムの野望について詳しいのに、アメリカ政府の秘密工作機関を軽視しているのは、藤原さんらしくない甘い見方で良くないです。歴史を大きく変えるほどのハードの一つがスターゲートであり、これはネバダの研究所で開発された秘密機械で、ある情報によると時空変換装置であるといわれ、テスラコイルを使ってワープするらしいから、プラズマを使ったワープ装置だろうと思います。
藤原 それなら一種のタイムマシーンの技術ですね。
大本 ロケットの利用だと月に行くのがやっとであり、宇宙空間は米国が開発した円盤型には広すぎ、火星はおろか金星に行くのにも遅すぎるから、恒星間飛行はとても出来ない相談です。だが、中東にある古代の叡智が教えるものなら、銀河系飛行が可能かもしれないと考えて、時空変換装置がオーパーツとして発見できれば、それは石油など問題にならないほどの価値があります。その技術をフセインが支配したら大変だから、名目的に原爆や化学兵器を大量破壊兵器と名づけて、イラク侵略の口実にしたと考える人も多いから、私はこれをイラク版の「死海文書」と呼ぶのです。
藤原 「死海文書」には多くの疑惑が付きまとっているが、ユダヤ教徒やキリスト教徒にとって重要な意味を持っています。あなたが言う古代技術のオーパーツより、「ギルガメッシュ神話」みたいな古代遺物ものを指して、イラク版の「死海文書」と呼ぶべきでしょう。
大本 そうですよ。キリスト教の基盤と言うか根を探求してみると、旧約聖書に行き着くと一般にいわれているが、むしろ、シュメール神話にオリジナルな話があり、ノアの箱舟の洪水物語も「ギルガメッシュ神話」からの剽窃です。キリスト教の教義体系の中核には信仰はなく、325年の「ニケア宗教会議」でローマ帝国の統治にとって、便利だと考えられるものだけを取ったに過ぎず、ローマ帝国をサポートするでっち上げが実体です。
藤原 それは旧約聖書を信じるユダヤ教も同じで、ヘブライ語のヤハウエ(エホバ)は神を意味する普通名詞だったのに、エホバは至高の唯一神だとユダヤ人は言う。だが、原典のギリシア語聖書ではエロヒム(神)とアドナイ(主)があり、エロヒムと発音してはいけないという捉のために、異教徒の神もエロヒムと呼ぶのを無視していると、神父の松居桃棲さんが「黙示録の秘密」で論じています。また、「死海文書」の発見でキリストがエッセネ派の治療師だと分かり、グノーシス派を経由して仏教に繋がるのだし、モーゼの立場も実にあやふやなものになって、ゾロアスター教やミトラ教の枝葉になる可能性があります。
大本 その辺が非常にクリティカルなところでしょう。もし、「死海文書」よりも重要なことを書いた古代文献が、アフリカの洞窟やメソポタミアの遺跡からでたら、ユダヤ人とアメリカの原理主義者(ファンダメンタリスト)にとって致命的です。また、ブッシュは熱狂的な原理主義者の支持を集めて、投票のインチキのお陰で大統領になれたし、アル中と麻薬中毒だった過去を信仰で救われているから、キリスト教原理主義に盲従するだけです。だから、軍隊を握るラムズフェルト国防長官とウォルフォビッツ国防長官代理は、軍産複合体とシオニストが中核のネオコンの意を受けて、イラクを占領する封印工作をやったのに、マスコミの多くが石油のための戦争だと論じたので、肝心なものを見るのを忘れています。
藤原 でも、それは言い過ぎで大本さんの偏見であり、私は石油の権益の支配が動機の大半を占め、大本さんが言うオーパーツは5%くらいで、古代文明の叡知の収奪が10%ほどあって、残りの25%はハルマゲドン(世界最終戦争)の妄想だと思う。ハルマゲドンは至福千年の宗教的妄想であり、ユダヤ人と原理主義者(福音主義者)が共に信じており、この二つを結び付けているのがネオコンです。また、ネオコンを日本では「新保守派」と訳しているが、「力は正義なり」を盲信するアメリカ至上主義集団だから、本当は「反動タカ派」とか「ネオ覇権主義者」と呼ぶべきであり、ハルマゲドン派と呼んでも良いほどです。
大本 ネオコンの中心は米国に住むシオニストであり、彼らはイスラエルが中東を支配して約束の地を築くには、世界最強の米軍の力を利用すべきで、それが米国の国益にもなるはずだと考えています。このネオコンを牛耳るユダヤ人は国際派とされるが、実は米国とイスラエルを結合させた国家主義集団です。彼らは核戦争でハルマゲドンが起きても、自分達だけは神の手で祝福され復活するし、千年王国で幸せに生きると思い込んでいます。
藤原 しかも、神の約束の地であるイスラエルがアメリカで、モーゼはワシントンに対応すると考えていて、メシアの降臨で救われるのが福音主義者だと、社会ダーウィニストの宗教右派の連中は信じている。また、シオニストはユダヤ人の一部に過ぎないが、宗教右派は皆がハルマゲドンを待望しており、自己中心の狂信集団だから不気味なんです。
大本 ブッシュ大統領を宗教右派が背後から支え、政治という前面をネオコンが取り仕切っていて、イラク版「死海文書」の封印のために侵略した以上は、米国はベトナムより酷い泥沼にはまり込みそうです。
宗教右派と結ぶブッシュと統一教会の影
藤原 謀略史観も面白いが私は石油問題のプロとして、ペルシア湾からカスピ海にかけて分布する石油資源の支配が、アメリカにとって最優先事項だと確信します。ただ、ブッシュが大統領になった経過を分析すれば、宗教右派の強力な支援を受けて当選したし、米国民の四分の一が福音主義者らしいから、その影響力は絶大だと言わざるを得ません。
大本 戦争をやる前から開戦は既に決まっていて、そのためにブッシュが勝つように仕組まれて、フロリダでの茶番劇が起きてトラブったが、結局は予定どうりにブッシュが勝ちました。
藤原 選挙は得票数で勝負がつくと思われているが、コンピュータのプログラムを操作するだけで、結果は決めたように出るようになっています。だから、情報化時代の選挙は単なる儀式に過ぎないと思うが、コンピュータのプロとして大本さんはどう考えますか。
大本 最初からプログラムをそう書いておけば、幾らでも操作できるとゴアも知っていたのに、全国的に自分の得票数の方が多かったので、もう一度数え直して欲しいと訴えてみたのです。そうしたらフロリダ地裁は数え直すと決めたのに、何とその翌日に連邦地裁はダメだと判決を出しました。真夜中に審議をしたかどうかは分からないが、数えてはいけないという不可解な判決が出たのに、アメリカ人は何も言わないのだから奇妙です。
藤原 大本さんの指摘どおりで結果は決まっており、ブッシュが変な選挙のお陰で大統領になったのは、背後に宗教右派が控えていたためです。しかも、無視できないのが統一教会の存在であり、統一教会は福音派の一翼に連なっていて、ブッシュ親子のスポンサー役もしています。統一教会が発行している「ワシントン・タイムズ」は、レーガン政権時代のホワイトハウスに食い込むのに成功して、朝の閣議の前に閣僚たちが読んでいたし、ブッシュ副大統領も愛読者だったと言われており、名門のUPI通信社も統一教会の系列です。
大本 統一教会がそれだけワシントンに食い込んで、同じキリスト教として宗教右派に深い根を張り、米国の政治に影響力を持っているとしたら、日本としては油断がならない感じですね。メシアを名乗る文鮮明教祖の指揮の下に、ブッシュ大統領の政策を背後から操るならば、福音主義者同士の狂信の相乗効果で、恐ろしい事態が起きることも予想できます。
藤原 十分考えられます。1996年の秋に後楽園の東京ドームで、統一教会のダミーである「世界平和女性連合」の総会が開かれ、副大統領を離任直前のブッシュが講演しています。読者で統一教会の内情に詳しい人の話では、その頃にバーバラ婦人は按手(ordination)を受けており、文鮮明の熱心な信奉者になったそうです。文鮮明は壮大な世界戦略の持ち主であり、ホワイトハウスを抑えれば世界を動かせると考え、メディアを支配する高度な戦術を使って、ワシントンに拠点を作るのに成功しています
大本 それに別働隊が国際勝共連合だという点で、反共思想はアメリカの右派と共通するし、国際的に幅広い活動を展開し易いから、ブッシュにとって実に頼もしい味方ですね。
藤原 自民党を応援して平和国家を作ろうという創価学会は、世界を動かそうと狙う統一教会に較べたら、せいぜい日系人の枠の周辺で活動するだけです。それは文鮮明と池田大作という宗教家が、人間としてどう生きるのかという差に由来しているのであり、共に宗教をタネに権力欲を満しているとはいえ、勝共連合として岸信介や笹川良一を取込み、未だに自民党議員の秘書として教会員を何百人も送り込んで、日本政府を操る威力が統一教会の誇りでしょう。岸の子分として反動路線を推進していた、福田赳夫の秘書官として政治を学んだ小泉純一郎が、勝共連合の筋で隠れ統一教会なのは、知る人ぞ知る日本の政界人脈の家系図であり、そんなことくらいCIAは良く心得ているから、ブッシュは小泉を愛犬チンコロ扱いするのです。
大本 ペットなら可愛がってもらえるメリットもあるが、ご主人に言われればイラクにまで派兵するし、戦費の奉加帳が廻ってくれば無い袖を振るい、一兆円ちかい資金を提供するという始末だから、日本の運命は情けないことに、空になれば使い捨てになる財布と同じです。
藤原 アメリカのイラク侵略の手伝いをすることで、日本が得るものはブッシュの感謝の他は何もありません。ただ、改憲を狙う自民党の右派が希望するのは、イラクで射殺や爆殺される自衛隊員の遺体を利用して、盛大な慰霊祭を靖国神社を使って行い、犠牲者を英雄に祭り上げて軍神に仕立てることにより、改憲の布石にしようというのではありませんか。
世界の支配者が独占するビジネスと狂気の時代
大本 今の日本の政治は全体的にネオコン化して、国民が無気力になっているのを利用しながら、軍国主義に向かって突き進んでいるので、イラクに自衛隊を送り海外派兵に慣れれば、改憲も核装備も簡単だと政治家は考えている。だが、アメリカは本心で日本を独立国だとは思っていません。だから、日本人が勝手なことをするのを許さないし、金融を始め主要企業は実質的に支配しているので、イラクでの犠牲者は犬死になるだけです。
藤原 金融破綻で銀行はこれからも倒産が続くから、銀行は総て横文字の名前になるだろうし、植民地化への憤懣と怒りを封じ込められた反動で、国粋主義に基づく攘夷思想を蔓延させて、残念ながら日本は没落せざるを得なくなる。ブッシュの言いなりになるだけの小泉政権のために、外交力の無い日本は要請だけで済む国として、交渉する必要も無い属領であると考えているから、アメリカは日本を完全にコケにしています。
大本 世界の支配者はこれまで幾つもタブーを用意して、支配体制が揺るがないようにして来たが、名目的な外交権だけは各国に与えることで、民族的な自尊心は満足させたわけです。だが、小泉内閣は何でも米国の言いなりになって、アメリカの国益を最優先にしているだけだから、こんな使いやすい政府はないわけです。昔から覇権国だけが独占して来たビジネスとして、筆頭の石油事業では製油や販売なら構わないが、石油開発には絶対に手を出させなかったし、麻薬ビジネスも介入させない独占事業だから、麻薬取引での検挙は他のグループがやった時に、それはいけないと言って弾圧するのです。
藤原 石油のプロだった私がズバリ言えることは、石油開発は別に禁止されているわけではなくて、優れた頭脳と補給線の確保が必要であるために、軍隊と同じように巨大な組織と資金がいるので、誰でもが簡単にやれないということです。
麻薬に関しては発言するだけの知識がないが、輸送と販売のネットワークを築いた上で、全世界の警察を相手に争う必要があるために、誰でも簡単に手を出せないビジネスなのです。
大本 その次は兵器を製造するビジネスであり、これは基幹産業と密着して財閥が担当するか、国営に準じた組織が下請けで担当している。更にダイヤモンドと金は勝手に作ったりは出来ず、大量に扱うと恐いオジサンがやって来て、たちどころにビジネスを取り上げてしまう。
それから、本当のことを言うとか書くのも禁止されていて、「焚書坑儒」ではないが真相に触れたら大変であり、真実を語るものは抹殺されているのです。
藤原 だから、ケネディー暗殺や九一一事件を追及する者は、不可解な事故死や暗殺によって葬られているのだし、「死海文書」のような危険な文献は抹殺されており、皆が恐がって黙るから迷宮入りで終わりになるのです。
大本 独占すれば圧倒的な利益をもたらすビジネスは、支配者以外は扱っていけないと制限され、苦労の多い分野だけが一般に開放されているのが、見えない統制がある自由経済の仕組みです。それに加えて世界支配に必要なために、メソポタミアからアフガンにかけての地域に潜んでいる、古代の叡知やオーパーツを手に入れるために、アメリカは戦争をはるか前から準備していたのだし、九一一事件もテロを口実にした芝居だと思うのです。
藤原 あなたが言う独占ビジネスは英米が支配していて、特に石油資本はアングロサクソン系の支配に見えるが、ロイヤルダッチ・シェルにはユダヤ利権もあるし、金とダイヤモンドは完全にロスチャイルドが抑えており、情報メディアもユダヤ系が握っていますよ。
だから、私は中東とカスピ海の石油利権の確保が、世俗の利害の対象として戦争理由の筆頭にあり、その次に宗教右派とユダヤ人がハルマゲドンで手を組み、メシアの再臨で千年王国を求める宗教的な心理が、イラク戦争を起こした理由だと考えています。
大本 二人の見解は最初に予想したほどは違っておらず、石油を中心に見るかオーパーツに注目するかの差で、精神的なものに関しては同じ意見だから、ハードの面でお互いの見解が異なっただけだと言えそうですね。
藤原 いずれにしても不可解なことが多すぎるが、世界が冷静さを失って狂気が支配している時だけに、ハルマゲドンだけは絶対に無いように希望して、この陰謀史観をめぐる対談のまとめということにしましょう。本日は長時間ありがとうございました。

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